文部科学省の2019年度の発表によると、小中学校の不登校児の割合は2012年から7年連続で増加。不登校とされる小中学校の児童生徒は18万人を超えた。

ジャーナリストの島沢優子さんは、長く不登校ながら、自分のやりたいことに向き合い生き生きと暮らす親子に取材。2回にわたってその姿をお届けする1回目では、現在中学1年生の彼がいつの間にか英語を身につけ、生き生きとしている姿と、その背景にある親の姿勢についてお伝えした。

その後編では、不登校になった当時のことを振り返り、なぜ生き生きと生きられる今につながったのかをご紹介する。

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保育園は毎日通っていたのに

「ふと気づいたら、不登校の息子が英語でチャットしてました」
小1の3学期から学校に行っていない中学1年生の息子を育てるシングルマザーのB子さん。パソコンやスマホなどで遊べるマルチプレイゲームで、海外の人々とコミュニケーションをしたいがために英語をマスターしたA君と暮らしている。

ところで、友達とのトラブルはありながらも保育園に楽しく通っていたA君は、なぜ小学1年生で不登校になったのか。

「小学校生活は、Aにとってとにかくストレスフルでした。保育園と違って、小学校は勉強しなくてはいけません。学校のペースにまったく追いつけませんでした」

A君のペースと学校のペースが合わなかった。A君は計算もできたし、字も書けた。ただ、やるペースが遅かった。
「A君、今日はこんなふうに(担任教諭に)怒られてたよ」
他の子どもから聞くたびに、お母さんの胸はつぶれた。

そこで、学童保育所から帰宅すると、懸命に勉強を教えた。ひらがな、漢字。算数。これが終わったら、次はこれやるよと息つく間もない。フルタイムで働いていたB子さんも、A君も、ヘトヘトになった。

勉強に加え、一番の問題は給食だった。食べられるものと、食べられないもの。A君は慎重でこだわりがあったが、学校は「好き嫌いなく、なんでも食べましょう」が指導方針だ。A君から「無理して食べてその場で吐いた」と聞くようになったため、「B子さんは担任に「どうしても食べられないものは、食べさせなくていいです。逃げ道を作ってあげてください」と頼んだ。だが、集団生活をさせなくてはいけない学校側は「みんな一緒」にこだわる。よって、5時間目の授業が始める寸前まで給食を食べさせられる日もあった。

給食をすべて食べるまで残される経験は、現代ではより一層好き嫌いを助長すると言われている。しかし「食べさせること」が教員の評価につながっていたら…Photo by iStock

ある日。A君が「学校行きたくない!」と言い出した。
「そんなこと言わないで。ね?学校、行こうよ」
最初は登校を促すような言葉だったが、「お母さんはね、仕事もあるんだよ」や、「ごめん。悪いけど、(学校に)行ってくれない?」と詰問するようになった。母子は追い詰められていた。