小林 フランスで、形がいびつなトマトのポスターがあるんですが、おしゃれなんです。「規格外を楽しもう」みたいな声がけで。やはり農家さんも規格外品が捨てられるとモチベーションが下がると思うんです。日本では農業が大事だとか、食料自給率が低いから高めようと言っている割にはそういった矛盾を感じますので、そこを正していく、それに関しては消費者からどんどん声を上げてほしい。規格外でもいいじゃんって。

それから小売店では、通常1ヵ月ほど前から何を置くか商談を始めることがあるそうですが、生鮮農産物は1ヵ月先のことなんてわからない。天候にも左右されるし、日々状況は変わる。でも契約しているのに出せないときはどうするかというと、欠品を防ぐために他の市場で買ってきて赤字で出荷します。せめて生鮮農産物はそういうのやめようよと消費者からも声を上げてもらい、社会を変えていきたいですね。

FRaU そんなことになっていたとは! その仕組みをわかっていない消費者が多そうです。生鮮農産物は店に行ってみてのお楽しみ、ぐらいのおおらかさを持ちたいですね。

小林 そういう意味では生鮮ではないんですけど、デンマークの会社が手がけた“Too Good To Go”というアプリが話題です。「捨てるには良すぎる」という意味ですね。ここに「マジックボックス」というものがあって、飲食店で余った食材をアプリでマッチングして少し安く売るというものです。これがいいのは、消費者は何が入っているかわからないものをちゃんと買うんです。わからないものを楽しめる姿勢がある。つまり、消費者とサービスを提供する側の理念が一致し、関係性ができているから成立する。マーケティング用語で「価値共創」という言葉があるのですが、スーパーに行って買い物の仕方ひとつ変えるだけでも、店と価値を作っていくことになるし、身近にトライできることだと思います。

FRaU 私たちが当事者として、もっと生産や流通、小売りの背景を知って買い物をしなくてはいけませんね。

小林 フードロスを突き詰めると人と人との関係性の問題に行きつきます。本来、作る側は食べてほしくて作っている、僕たちは食べさせていただいている、そういった思いや尊敬や感謝の気持ちをどこかに持ってないと関係は崩れていくものです。逆に気持ちがあれば、簡単に捨てることはできない。数字だけを追うのではなく、人間社会の普遍的な価値観という側面にも光を当てなければいけません。そんな本質的なことに気づかせてくれるのがフードロス問題であると思っています。


●情報は、FRaU2021年8月号発売時点のものです。
※本記事で紹介している商品の価格は一部を除き消費税を含んだ金額です。なお一部の商品については税込価格かどうか不明のものもございますのでご了承ください。
Artwork:Niky Roehreke Text & Edit:Chizuru Atsuta

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