毎年9月26日は、世界避妊デーだ。避妊を必要とする全ての人が、十分な情報をもとに選択し、確実にアクセスできること。それがひとりひとりの「権利」として保障されることの重要性を再認識する日だ。

初めてスウェーデンに留学した22歳のとき、日本の避妊法や性教育とのあまりの違いに驚き、2018年5月#なんでないのプロジェクトを立ち上げた福田和子さんに、改めて世界の避妊の最新情報と、「避妊の権利」がなぜ大切なのかを綴っていただいた。

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避妊法が公的サポートで無料

「産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める権利」は特に1995年以降、国際的に「性と生殖に関する健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ、SRHR)」として認められた。2030年までの達成が目標のSDGsにおいても、SDGs3「​​あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」のなかで「項目7: 2030 年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画へ の組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるようにする」と明記されている。

最近、その実現に向け、イギリスやフランスで大きな一歩が見られた。ファーマーメディカルテクノロジーの記事によると、イギリスでは、コロナ禍であっても避妊を必要な人が確実にアクセスできるように、緊急避妊薬(いわゆるアフターピル)に加え、「ミニピル」も処方箋の必要なく薬局で販売する方針を決定したという。ミニピルは、毎日同じ時間に服用することで高い効果での避妊や月経困難症の軽減効果がある。またミニピル の場合、プロゲステロンのみでエストロゲンを含まないため、ほとんどの人が服用でき、血栓症のリスクも低い。イギリスでは、処方箋があれば16歳以下の若者も含め全ての年齢の人に、避妊法が無料で提供されるが、薬局販売の場合ミニピルは1ヵ月1000円程度になる予定だ。それでも高額だとして、アドボカシー活動も続いている。

2019年、カナダ・バンクーバーの薬局で売られる緊急避妊薬を指差す筆者。日本ではまだ処方箋が必要だが、世界では90ヵ国以上で緊急避妊薬が処方箋の必要なく薬局で売られている。イギリスでは今後ミニピルも薬局で購入できるようになるそうだ 写真提供/福田和子

ガーディアン紙の記事によると、フランスでは、2013年より15歳から18歳までの若者にあらゆる避妊法とそれに関わる一切の検査やカウンセリングを無料で提供していたが、2020年からはそれを15歳以下にも拡大した。それによって中絶数は減少した。しかし、いまだ若者の多くが値段を理由に避妊を断念しているという現状を受けて、来年から避妊無料の対象は25歳に引き上げられる。また、25歳以上であっても、避妊にかかる費用のおよそ65%は払い戻される形だ。

「避妊が公的サポートで無料」と聞くと、驚く方も多いかもしれない。しかし、特に若者に対しては、公的な資金によって避妊へのアクセスが無料になる国は少なくない。そしてその無料化の対象は先述のフランスはじめ、広がるばかりだ。例えば私が足掛け3年住んでいたスウェーデンでも、避妊は元々15歳から18歳まで無料だったが、若年女性の性の健康と権利を守るため、2017年よりその対象が21歳になるまでと拡大され、それ以降若年層での避妊使用率は上昇した。さらにスウェーデンの場合、地域差はあるが、25歳までは避妊は安価に提供されていて、私の住んでいた地域では、3~5年有効な子宮内避妊具や避妊インプラントもピル1年分も、かかるお金は100SEK(約1200円)だった。すなわち毎月の出費は100円程度で済むのだ。この「避妊が無料」はいわゆる高所得国だけの話ではなく、低中所得国においても珍しいことではない。

若者がアクセスしやすい避妊・SRHRサービスなどをテーマに、スウェーデンの大学院で公衆衛生を学んだ筆者(写真右)。避妊が当然に必須な医療・権利として扱われるのを肌で感じた 写真提供/福田和子