1959年に始まった北朝鮮への在日朝鮮人「帰国事業」とは何だったのか

日朝両国政府の思惑に翻弄された人々

コロナ禍でも軍事力強化

コロナ禍による「鎖国」状態の中でも、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)はさまざまな動きを見せている。

9月9日午前0時から、平壌(ピョンヤン)市の金日成(キム・イルソン)広場で、建国73年を記念する軍事パレードが開催された。ひときわ目立ったのは、オレンジ色の防護服を着て防毒マスクをした一団。新型コロナウイルス対策のための防疫部隊なのだろう。

「労農赤衛隊」のパレード(2008年9月9日撮影)

今回のパレードは正規軍ではなく、労働者や農民などによる「労農赤衛隊」や、警察にあたる社会安全省などが参加した。こうした民兵組織による軍事パレードは、私が取材した2008年のように、過去にもあった。

今回の民兵による行進を見て気づいたのは、「ガチョウ足行進」の変化だ。延ばしたままで大きく振り上げる足の高さが低くなっているのだ。この行進が大変な体力を要することを配慮したのか、準備期間が短かったのだろう。

北朝鮮の軍事パレードについては「現代ビジネス」掲載の拙稿「北朝鮮が『ド派手な軍事パレード』で新型ICBMをお披露目する理由」に詳しい。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76275

そしてより大きな出来事としては、相次ぐミサイル発射実験である。11日と12日に発射された長距離巡航ミサイルは「2時間6分20秒飛行し1500キロメートル先の目標に命中した」という。これは日本各地の米軍基地にも到達する距離だ。そして15日には、列車からの短距離弾道ミサイル2発の発射実験を実施。これに対し、米国や日本は強く抗議した。

「朝鮮中央通信」は 17日、韓国が同じ15日に発射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)について、次のように反発した。

「米国は15日、あいにく同日同時に朝鮮半島で響いた爆音を聞きながらも、『北朝鮮の行動は米国と国際社会に対する脅威』と言い掛かりをつけ、南朝鮮の行動に対しては押し黙った」

米国も日本も2017年の深刻な危機をすっかり忘れているかのようだが、北朝鮮は米国の首都ワシントンまで到達する核弾頭搭載の弾道ミサイルを完成させている。北朝鮮はトランプ前政権時に、核兵器と長距離弾道ミサイル(ICBM)の実験凍結という譲歩をした。

 

バイデン政権が「前提条件なしの対話の呼びかけに、北朝鮮が前向きに応じることを望む」といくら繰り返しても、米国が制裁の一部解除や米韓合同軍事演習の完全中止などに踏み出さない限り、危機はいつか確実に再来する。ボールは、バイデン大統領の手にあるのだ。

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