2021.10.06
# 介護

悲しい「介護殺人」や「孤立」を防ぐには…?「ヤングケアラーだけ」の支援ではまだ足りない

奥村 シンゴ プロフィール

ケアラー支援で「介護殺人」を未然に防ぐ

財務省は、各省庁が提出した令和4年度の概算要求総額が111兆659億円と公表し、大部分は社会保障費やコロナ対策や防衛費などに使われる予定です。

「ヤングケアラー」や「ケアラー」へ充てられる額は、合計1171億2000万円。

内訳は、実態調査・研修事業に364億円、育児ヘルパー派遣364億円、介護従業員の確保206億円、家族介護者支援等に137億円、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーの教育相談体制充実に98億円、児童虐待防止対策等推進事業費2.1億円、ヤングケアラー相互ネットワーク形成推進0.1億。

厚生労働省の概算要求では、「ひとり親家庭等の自立支援の推進」1790億円に次ぐ多さとなり、「育児ヘルパーの派遣」、「介護当事者や支援者の相談窓口に支援金」など目新しい施策があります。

他方で、「ヤングケアラー」は、親・きょうだいは支援対象外、他の「ケアラー」への支援がほとんどない、介護者手当(家族介護慰労金・介護休業制度以外)がないなど経済的困窮の解消や社会格差の是正につながるか疑問が残ります。

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そして、政府の調査等から「ヤングケアラー」は約10万人、「若者ケアラー」は約33万人、「就職氷河期ケアラー(40代の介護者人数を対象)」約77万人で合わせると約120万人いると推定されている。また、マンパワーも各自治体数人~数十人程度。このように、予算やマンパワーは限られているので、18歳未満の子どもである「ヤングケアラー」以外は、シングル・多重介護者に絞ったケアを提案します。

なぜなら、介護殺人は毎年20~30件発生し、大半がシングル・多重介護者でそれだけケアが過酷なことを意味するからです。

▼近年の主な介護殺人一覧(報道発表分)
2021年8月 岡山県 50代息子が80代母親を1人で介護し殺害
2021年5月 広島県 70代夫が80代妻を1人で介護し殺害
2020年12月 東京都 80代夫が70代妻を1人で介護し殺害
2020年8月 神奈川県 60代男性が100歳代の叔母を1人で介護し殺害
2020年7月 滋賀県 60代の息子が1人で80代の母親を1人で介護し殺害
2020年5月 埼玉県 60代母を20代息子が1人で介護し殺害
2020年4月 福島県 40代息子が70代母親を1人で介護し殺害
2019年11月 福井県 70代の息子が90代の義理両親3人を1人で介護し3人を殺害 
2019年10月 福島県 60代夫が80代妻を1人で介護し殺害
2019年8月 兵庫県 20代女性の孫が90歳祖母を1人で介護し殺害
2019年4月 大阪府 20代の女性が3歳の弟を1人で介護し殺害

上記の介護殺人の一覧から「2人世帯が多い」、「加害者の低年齢化(2019年大阪府は「ヤングケアラー」、兵庫県は「若者ケアラー」、2020年の福島県は「就職氷河期ケアラー」)、親以外の介護(「叔父」、「叔母」、「義理両親」、「孫」、「きょうだい」とあるのがわかります。

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