ジョニー・デップがキャリアをかけて、日本の公害病をテーマにハリウッド映画をつくった、と聞いたら驚くだろうか。公害病の名は「水俣病」。原因となった企業チッソの水俣工場から排出されたメチル水銀化合物を含む廃水により、多くの市民が中毒性中枢神経系疾患を発症した。

水俣病は1956年に公式に確認されて以来、過去65年間、チッソ、国、熊本県は水俣病の被害を矮小化し、抜本的な施策を行ってこなかった。水俣病と認定された被害者も身体的障害、社会的な偏見や差別に今もなお苦しんでいる。

こうした背景があるなか、ジョニー・デップが主演・製作をと務める映画『MINAMATA―ミナマター』が9月23日より公開される。

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アメリカを代表するフォトジャーナリストの故ユージン・スミス氏とアイリーン・美緒子・スミス氏の夫妻(当時)が3年間にわたる水俣病の取材をもとにつくった写真集『MINAMATA』を原作に、ジョニー・デップ演じるユージンの目に映る“水俣”を描く本作。ジョニー・デップは故ユージン・スミス氏の写真に昔から興味をもち、彼の人生や体験を調べていくうちに水俣に行き着き、まだ“終わっていない”水俣を映画化しなくてはいけないという使命感に駆られたという。

そんなジョニー・デップの情熱から生まれたこの映画は、水俣問題が“今も生きている”ことを私たちに気づかせてくれるだけでなく、チッソの実態を暴くスリリングな展開や緊迫する市民活動、ユージンとアイリーン(美波)が育むほのかなラブストーリーによってエンタメとしても魅せてくれる。

今回、写真集を制作したアイリーン・美緒子・スミス氏に、故ユージン・スミス氏との出会いから現在従事する反原発活動についてまで、じっくり話を聞くことができた。

『MINAMATA―ミナマター』より
アイリーン・美緒子・スミス/AILEEN MIOKO SMITH
1950年、東京生まれ。アメリカ人の父親と日本人の母親をもつ。1968年、スタンフォード大学入学。1970年に語学力を生かして通訳者として富士フィルムのコマーシャル制作の仕事に携わり、ユージン・スミスと出会い、結婚後すぐに水俣に移住。1983年コロンビア大学にて環境科学の修士号を取得。1991年、環境市民団体「グリーン・アクション」を設立。http://greenaction-japan.org/jp/