使命感が公表するリスクを上回った

成人のADHDコミュティで出演者を募ると、10〜40代の女性9人が集まった。皆一様に、周囲になじめなかったり、ADHDであることで女性性を否定され傷ついてきた経験を持っていたという。

「小学校のときに診断され、中学で彼氏にADHDを打ち明けたらそれっきり会ってくれなくなり、変な噂を立てられるなどをした知人がいました。インタビューした女性たちも、皆そのような経験をしているため、ADHDであることは絶対に知られたくないと言っていました」

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そのような中で自身も当事者であることを公表し、なおかつセンシティブなテーマを扱うことに不安はなかったのだろうか。

「社会的に不利になることは当然わかっていたし、医師からも危険だと言われました。ただでさえ繊細な問題を、さらに女性だけにフォーカスするとなれば、批判を受けたり偏見を助長しかねないことは考慮すべきであると思います。でも、自分を隠して生きることは私らしくありませんし、誰かがやらなければならないので。何より今の10代の女性が、私と同じ思いをしないようにしたいという使命感がありました」

映画製作に集中するため、勤めていた会社も辞めた。向こう見ずに見える行動も、「ADHDだからこそできたのかもしれない」と話す。

「後先のことを考えず衝動的に始めたのが正直なところですが、ADHDは計画性に乏しい代わりに、人より早くスタートして集中してやり抜く長所もある。いざ始めてみたら、次から次へとタスクが出てきて頭が爆発してしまいそうですが、クラウドファンディングやSNSを通じて多くの人が応援してくれているし、一度始めたことはやり遂げなければと思っています」

映画は11月に撮影を終え、来年3月の公開を目標にしているという。

日本でもASD(自閉症スペクトラム)も含め、女性の発達障害について取り沙汰はされるが、性差を考慮した治療に焦点があたることはほとんどない。韓国の女性患者たちの取り組みが国境を超えてどのような波紋を投げかけるか、今後も注目される。

なお、パク・ポネさんは日本のADHD女性の経験談も募っているという。協力しても良いという方は、パクさんのツイッターかインスタグラムのアカウント(@distractedgirl_)まで連絡を(インタビューは韓国語ができなくても可)。