2021.09.22

85歳母親「老人ホームに入らなかった」せいで老後生活が崩壊…お金をケチった子供たちが招いた悲劇

長野 郁子 プロフィール

基本的には自分の受ける介護は自分で決めるべきだと思っている。ただ、積極的に自分から進んで施設に入る高齢者は少なく、往々にしてぎりぎりまで我慢するため、まわりが見るに見かねて段取りする施設介護になりがちである。こうした「遅すぎる介護」は本人にとって不本意なものとなる。一方まれに「早すぎる介護」で老後がつらくなるという場合もある。そこで私が知る事例で施設入居時期の問題を考えてみたい。

 

遅すぎた介護

まず遅すぎた介護だ。この事例はFP相談でなく友人のY子からの愚痴の混じった相談だった。ただとても記憶に残り、かつ残念な結末であったので紹介する。

Y子と同じ市に住むA代さんという方が居た。Y子の伯母である。A代さんは子供2人を一人前に育てあげ、70歳の時に夫を亡くし、その後94歳で亡くなるまでほぼ四半世紀をひとりで暮らした。

A代さんの住まいは一戸建ての持ち家、勤め人だった夫の遺族年金、それに節約家の夫が貯めた金融資産(推定5000万円)があり、つましい生活が習い性で生活費の支出も少なく、おまけに体が丈夫でこれといった持病もなかった。健康でお金をもっている年寄りは強気で、Y子がよく聞いた70~80歳の頃の口癖は「誰の世話にもならない」だった。

A代さんは子供や孫の来訪を喜ぶ人ではなく、年に数回アリバイ的に帰る子供たちのことも快く思っていなかったようだった。「お金がかかるし、ひとりの気楽な生活を乱されたくない」と言っていた。

子供たちのほうも「元気だからほうって置いてもひとりで大丈夫」と思っていたようだ。こういう状態が何年も続き、連絡も時々の電話のみとなり、行き来はなくなった。大げんかしたわけでも、何か事件があったわけでもないが、お互いに疎遠になっていった。

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