2021.09.21
# 韓国 # 北朝鮮

「兵器好き」の金正恩も苦境か…北朝鮮と韓国の「誰も幸せにならない」軍拡競争の行く末

牧野 愛博 プロフィール

「三重苦」の中で国内アピール?

北朝鮮は現在、国際社会による制裁、相次ぐ災害、新型コロナウイルスの防疫措置による国境封鎖という「三重苦」にあえいでいる。国情院も、北朝鮮の経済活動の停滞を認めており、国内の不満も高まっているようだ。

北朝鮮当局としては、金正恩体制が揺らいでいないという姿を国内にアピールする必要にも迫られている。こうした事情が、軍の勢力拡大と相まって、不必要とも思える兵器開発の邁進につながっているのかもしれない。

典型が15日の「鉄道機動ミサイル連隊」の発射実験だ。列車は輸送力が高い半面、軌道がわかっているため、レールや鉄橋を破壊されたら使えない。発射後の逃走経路の割り出しも簡単で、反撃に遭いやすい。

「現代で鉄道を使ったミサイル発射を導入している軍隊はない」(自衛隊元幹部)という理由が、そこにある。

北朝鮮もこうした弱点を克服するため、無限軌道型移動発射台の開発を進めてきたのではないか。時代遅れの「列車砲」は、党大会で示された5カ年計画のノルマを達成するための苦肉の策だったのかもしれないが、軍が勢力拡大のために不必要な軍拡に走った結果とも言えるだろう。

 

韓国・文政権が兵器開発に取り組むワケ

一方、韓国の文在寅政権も兵器開発に熱心に取り組んできた。文氏は9月15日のSLBM実験だけでなく、4月9日に行われた韓国が開発する次世代戦闘機「KF21・(愛称ポラメ=オオタカ)」の試作機公開にも立ち会った。文氏はこの時も「自分たちの手で作った先端超音速戦闘機を持つのは世界で8番目の快挙だ」と喜んだ。自衛隊の元幹部は「新兵器の開発に、国のトップが立ち会うなど、日本では考えられないことだ」と驚く。

KF21の前で演説する文在寅大統領 / KAI(韓国航空宇宙産業)のホームページから

文政権が兵器開発に取り組む理由は主に二つある。一つは、文政権が盧武鉉政権から継承した、米韓同盟に頼りすぎない「自主国防」路線だからだ。文政権は当初、2022年5月までの任期内に、朝鮮半島有事の際、米軍が保有している韓国軍を指揮統制する権限を韓国に移管することを目指していた。新型コロナウイルスの感染拡大で移管を検証する作業が遅れているが、「米軍に頼らない軍事力の強化」は、文政権の悲願でもある。

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