2021.09.21
# エンタメ # 広告

THE FIRST TAKEが「広告賞」を次々受賞…そのウラで「広告業界」に起こっている重大な変化

難波 功士 プロフィール

しかし、インターネット普及以降のメディア環境、さらに言えばインターネット広告費がマス4媒体の広告費総計を追い抜きつつある現状は、マス4媒体を前提とした「広告」のありよう、そして「広告」の定義そのものを一気に流動化させています。

でもTCCの場合、「広告(コピー)」という看板を外すと、それはそれで組織のアイデンティティを喪失しかねないのかもしれません。コピーライティングないし広告制作という匠の技を守り続けるか、それとも何らかの課題を解決するためのクリエイティビティのすべてを職能としていくべきか。困難な模索が続くと思いますが、THE FIRST TAKEの受賞は、一つの転機となるのではと私には思えました。

私が所属する日本マス・コミュニケーション学会も、長い議論を経て2022年1月から日本メディア学会へと改称することが決まりました(https://www.jmscom.org/20210823-jams/)。

マス(大衆)に一気に、一方向でコミュニケーションする「マスコミ」は、地上波テレビ放送の力などによって維持されてきましたが、いよいよその作法も通じなくなってきています。広告も、「広く告げる」というよりは、「広まるように告げる」ことへとシフトしていくタイミングなのでしょう。

最後に蛇足ながら、「コンテンツの価値はもちろんだが、ネーミング、デザインに広告制作者の技術が果たした役割は大きいと思った」という審査評を読んでいて、カンヌライオンズ2014の受賞作「First Kiss」のことを思い出しました(https://www.youtube.com/watch?v=2QexG8L1UDU)。

 
 

初対面の男女(時に同性同士)にいきなりスタジオでキスをするように促し、事前の緊張や逡巡、事後の解放感やうちとけた様子などを撮影した3分半ほどのスタイリッシュなウェブ・ムーヴィー。それがバズることによって、この動画をつくったアパレル関連企業のホームページへのアクセス数が、一気に伸びたのだとか。さて、この3分半の動画は広告なのでしょうか、コンテンツなのでしょうか。

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