アシスタントの経験を活かして
──この時代の服装や道具などの作画資料は、どういったところで集めてらっしゃるんでしょうか? 特に、阿片窟のリアルな雰囲気がすごいと感じたのですが。
鹿子: 自分で資料を探したりもしましたが、結局のところ最後は僕の頭の中に浮かんだものを絵にしているので、具体的にベースにした写真などはあまりないんです(笑)。多くが想像ですから実際の阿片窟の資料として見られると、ちょっと困ってしまいます。
門馬司: アレを想像で描いたんですか? すごいな……。
編集白木: これまでのアシスタントの経験も活かされている感じですかね?
鹿子: 中華風のうにょうにょした適当な模様はよく描かせてもらっていたので、そこは本作でも役に立っています。あとはモンゴルの馬……馬はもう、今までに死ぬほど描いたので(笑)
編集白木:確かにモンゴル民族の元から去るシーンの馬の描き方はめちゃくちゃ上手かったですね(笑)
──描き込みの緻密さも本作の見どころだと思いますが、鹿子さんはどのような環境で作画作業をされているんでしょう。
鹿子: 基本、絵を描くところに関してはアナログです。紙にペンで絵を描いて、それをパソコンでスキャンして、トーンなどの仕上げだけデジタルでやる形ですね。今は全部の作業を僕一人でやっています。
門馬司: えっ、まだアシスタントさんを入れていないんですか?
鹿子: 今はまだ。最初は余裕があるだろうと思っていたんですけど、やっぱり結構キツいですね(笑)。ただ、自分の感覚だと限界まで描き込んでいるという感じではないので、しばらくはできるところまでやろうと思います。


門馬司: 僕の方では、鹿子さんにどんな構図を投げてみようか、いつも考えていて。自分では到底描けないようなものも鹿子さんならすごい絵にしてくれると信じているので、ネーム上ではどんどん難しいアングルを描いてしまっています(笑)。
編集白木: ちなみに、これまでで本当に描くのが大変だったシーンはどこでしたか?
鹿子: 今のところは、やっぱり芥子畑ですよね。とりあえず物量が多いんで。でも、基本的に背景を描くのは楽しいんで、大丈夫ですよ。