# 中国

「核保有国」の中国とロシア、実は「核兵器への考え方」が大きく異なっていた

冷戦後の状況が、変わりつつある
後瀉 桂太郎 プロフィール

核の限定使用という脅しによって相手に譲歩させ、自分にとり都合の良い状態で安定させる、という戦略は「ディエスカレーション戦略」と呼ばれます。

これまた難解な専門用語なのですが、この「ディエスカレーション戦略」とはもともと “escalate to de-escalate” strategy、つまり「一度事態をエスカレートさせて相手を脅し、譲歩させ、自分にとって都合のいいところで鎮静化させる戦略」、というものです。中国のA2/AD戦略と違い、ロシアは現代にあっても核兵器に軍事戦略の多くを依存しているのです。

ですからロシアは自分のバーゲニングチップである核兵器とミサイルを無力化しかねない、日米などが運用する弾道ミサイル防衛システムの配備について「戦略的安定を損ねる」といって強く反対しています。

 

つまるところロシアの安全保障政策の根幹は冷戦期と全く変わっておらず、ロシアの大国としての力の源はひとえに核戦力にあり、最終的には戦略核という巨大な報復戦力によって互いが先制攻撃を思いとどまるという、「相互確証破壊」(mutual assured destruction:MAD)というメカニズムによる戦略的安定に依存しているのです。

ちなみに極東ロシアのウラジオストクを母港とするロシア海軍艦艇の主力(スラヴァ級ミサイル巡洋艦、ウダロイ級ミサイル駆逐艦)の搭載する対艦/対地ミサイルは戦術核搭載が可能ですし、極東ロシア空軍の爆撃機(TU-22Mバックファイアなど)も同様です。プーチン大統領の発言をふまえると、ロシア軍は普段から核兵器を搭載して日本周辺で行動している可能性は、決して否定できないのです。

関連記事

おすすめの記事