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「核保有国」の中国とロシア、実は「核兵器への考え方」が大きく異なっていた

冷戦後の状況が、変わりつつある
後瀉 桂太郎 プロフィール

ロシアの核戦略は、冷戦期のまま

それでは、現在ロシアの核戦力はどうなっているのでしょうか?

ソ連崩壊と経済の低迷によって、冷戦期に建設された巨大な通常戦力のほとんどは20世紀末にかけて消滅しました。しかし、ロシア側の視点からすれば、NATOがバルト三国やポーランドなど、かつてのソ連衛星国を取り込みつつウクライナやベラルーシといったロシアの勢力圏に影響を及ぼし、カフカスなどロシア国内の分離独立運動などに干渉している、とみなしており、これに対応する必要があります。

ですがソ連時代に比べ経済規模の縮小したロシアに、高コストの先進通常兵器で米国とその同盟国に正面から対抗する力はありません。そのためロシアが選択した軍事戦略は核戦力に多くを依存するものです。そしてそれはICBMなど戦略核によって抑止を機能させるのではなく、非戦略核兵器による「核の限定使用」を主な手段とするものです。

ロシアのプーチン大統領[Photo by gettyimages]
 

戦力更新が遅れているため、ロシア軍の保有する航空機や艦艇の多くはソ連時代から運用しており、核弾頭の運用が可能です。「SIPRI Yearbook 2019」では、ロシアの保有する核弾頭数は6500発と推定され、退役/解体待ちの2170発を除いた4330発が稼働状態にあります。そのうち戦略核は2500発となり、残りの1830発は巡航ミサイル、爆撃機搭載の各種爆弾/対地攻撃ミサイル、海軍艦艇が運用する核魚雷/艦対艦ミサイルといった非戦略核です。

クリミア併合後1年に際して2015年3月に放映されたロシア国内のテレビ番組で、プーチン露大統領はクリミア併合に伴う軍事作戦の期間中、核警戒態勢、すなわち核兵器を限定的に使用する準備を整えていた、と明言したことは世界各国で広く報道され、とりわけ欧州諸国に大きな影響を与えました。

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