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「核保有国」の中国とロシア、実は「核兵器への考え方」が大きく異なっていた

冷戦後の状況が、変わりつつある
後瀉 桂太郎 プロフィール

また、二つ目の理由としてその種類が挙げられます。中国人民解放軍はごく少数の巡航ミサイルや航空機搭載の核爆弾を保有するようですが、大半は核抑止を主目的とした戦略核です。

こうしたことから、現時点で中国は核戦力を着実に長射程・高性能化していることは間違いないのですが、米国に対抗して飛躍的に増強しているわけでもない、ともいえます。そして「アクセス阻止、エリア拒否」戦略(Anti-Access/Area-Denial Strategy:A2/AD戦略)はじめ、近年日本周辺地域、そして世界で大きな問題になっている中国の軍事力拡大と海洋進出は、基本的に通常戦力によるものです。

 

ただし、米国防省による2020年の年次レポート(U.S. Office of the Secretary of Defense, Annual Report to Congress:Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China, 2020)では、中国が保有する最新型中距離弾道ミサイルの一つDF-26を「中国において精密攻撃が可能で、かつ核搭載可能な初めてのミサイルシステム」であるとし、「近い将来に低出力核弾頭を搭載する」可能性がある、と見積もっています。

今のところ中国は次に記すロシアのように様々なバリエーションの非戦略核を保有しているわけではなく、非戦略核の使用をちらつかせて恫喝している、ともいえません。とはいえ近年の中国による急速なミサイル戦力の拡大は、それにシンプルな単弾頭の核バージョンを追加するだけでアジアの安全保障環境に対し大きなインパクトを与えるものであるといえ、一定の注意を払っておく必要があります。

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