衝撃のCMから20年…そろそろ、子どもの想像力を奪うのはやめませんか?

ふたりの作家が『まっくろ』を追い求めたワケ
大和田 佳世 プロフィール

「人は人、自分は自分」が口癖の母親だった。それがどこか支えになっている。大人になって仕事をしていても、その言葉に何度も救われてきた。この映像が誰かにとってのその母親の言葉のようなものになるとうれしいと思った、という高崎氏。

同時に「創作で自分が大切にしたいと思ったこと」を守り通す大変さをいつも感じていた。

絵本『まっくろ』(高崎卓馬・作 黒井健・絵)より

「この物語で最後にクジラが生まれたのは、作者である男の子の信念のおかげです。でも実際はいろんな大人たちが口を出す。僕も口を出してしまう側かもしれません。

何かを創造するって大変なことです。その大変さとその素晴らしさを本人も周囲もわかっておくってとても大事なことだと思います。自分を信じること。他人を信じること。そういうことがちゃんとできる世界であってほしいなと思います。」(高崎氏)

だれもが生きづらさの嵐を抱えている

今、「理解できないものを許せないひとが多い気がする」と高崎氏は言う。自分の想像とちがう展開をしたものを歓ぶ余裕が少なくなっているのかもしれない。

「でも理解できないものを、自分が理解できないからといって、否定したり攻撃したりするのはちがうと思うんです。この絵本のすごいところは、実は少年を見守る大人や友人たちの描写です。これは映像にはできなかった絵本だけのものです。読んでくださるみなさんにぜひそこをじっくり見て、何かを感じてもらいたいです。」(高崎氏)

黒井氏はどう思っているのだろうか。

 

「個人的に言えば、息子との約束を果たせてほっとする気持ちがある」と吐露する。黒井氏はこの絵本と向き合うことで、自分の生き方を探していた息子の心に響いたものはなんだったのかを、ずっと知りたいと思ってきた。

「誰もがみんな、心の中に嵐を持っているんじゃないでしょうか。多かれ少なかれ、葛藤、激しさ、違和感……。嵐は、私の中にもありますから」(黒井氏)

黒井氏は、「周囲の大人が子どもにどう接するのか、どんなふうに言葉をかけるのかは、すごく大事だ」とも言う。

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