衝撃のCMから20年…そろそろ、子どもの想像力を奪うのはやめませんか?

ふたりの作家が『まっくろ』を追い求めたワケ

2002年、ACジャパン(当時、公共広告機構)のテレビCMとしてお茶の間に衝撃を与え、アジア太平洋広告祭グランプリ、カンヌ国際広告賞銀賞など国際的に評価された『IMAGINATION/WHALE』というCMがある。

ひたすら画用紙を黒く塗りつぶす子どもと、困惑する大人たちが登場し、最後はつなぎ合わされた大量の黒い画用紙から思いもよらない絵が浮かび上がる……という内容だ。

このCMがある絵本作家の心を動かし、長い年月、紆余曲折を経て、絵本『まっくろ』(講談社)として出版された。

現れたのは黒い大きな……

白いシャツを着た小学校低学年くらいの男の子が、来る日も来る日もひたすら画用紙を黒く塗りつぶす。先生は不安な顔をし、家族も理由がわからず、病院の医師たちは首をかしげる。増え続ける黒い絵を、あるとき「はっ」と気づいた大人たちが並べ始め……。

絵本『まっくろ』(高崎卓馬・作 黒井健・絵)より

視聴者が息をのんで見つめる先に、黒い大きなクジラ。そして「子どもから、想像力を奪わないでください」と最後に流れるメッセージが大きなインパクトを残す1分半のCM。

企画発案者の高崎卓馬氏は、後にJR東日本「行くぜ、東北。」やサントリー「オールフリー」などで手腕を発揮するクリエイティブディレクター。今は映画の脚本や小説にも活動の幅を広げているが、このCMの骨子を考えたときはまだ一プランナーとしてもがいている20代の終わり頃だった。

 

「2002年に公開されて、長尺のものなのでそんなにたくさん放送されていないCMですが、海外の広告賞をたくさんもらえて、そのおかげでいろんな人に届きました。企画した当時は自分自身もとても悩んでいた頃で、何が『面白い』ということなのかわからなくなっていて、この仕事に向いているのか自問自答を繰り返していました。

そんな頃にカンヌ(広告祭)に行って。浴びるように世界のCMを観ながら、自分がやりたかったものがそこにある感覚になって、それから必死に研究しました。言葉や文化や国籍の違うひとたちが面白がるものを作るにはロジックがとても大切で、それがないものは幼稚なものとして笑われる。

映像の文法のようなものがあると気がついたんです。当たり前のことなんですが、それがあの頃の僕には完全なカルチャーショックで。そこで得たものがなければこのCMはつくれませんでした。」(高崎氏)

高崎氏が諦めなかったことと、関係者の尽力でCMは完成し放映される。

公共広告は賞レースでは特殊なカテゴリーとされるにもかかわらず、アジア太平洋広告祭のグランプリやカンヌ広告賞銀賞、クリオ賞銅賞、ニューヨークADC賞銀賞、One Show銀賞など、高い評価を得て国内外で話題となった。

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