「ワクチンパスポート」と「マイナンバー」の「危険な関係」

まず国民の国への信頼がなければ
野口 悠紀雄 プロフィール

国への信頼が最も重要な条件

誤解のないように申し添えたいが、私はワクチンパスポートに反対しているのではない。それは、感染防止と経済活動再開を両立させる1つの手段だと思う。

私が指摘したいのは、つぎの2つだ。第1に、紙の証明書を使うには、本人確認の手段が必要で、それが不十分だ。第2に、デジタルな証明書の発行は、マイナンバーの利用拡大を意味し、それが認められるか否かについて、国民的な議論が必要だ。

もしここで何の議論もなしにマイナンバーの利用拡大を認めるとすれば、将来、強権的な政府が現れ、思想によって国民を区別するためにマイナンバーが用いられるのを阻止することはできなくなるだろう。

北欧諸国において国民IDが広範な目的のために用いられているのは、将来も含めて、国が国民を管理するために国民IDを用いることはないという信頼があるからだ。

つまり、マイナンバーのような国民IDを広範な目的のために使用するには、国に対する国民の信頼が不可欠なのである。現在の日本においてそのような信頼が形成されているかどうか、疑問であると考えざるをえない。

 

デジタル・ワクチンパスポートには、このような問題がある。それが、一般には十分に認識されていないのではないだろうか?

基本問題をうやむやにしたままで、経済再開を旗印にデジタル・ワクチンパスポートを認めてしまうのは、大きな問題だ。

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