「ワクチンパスポート」と「マイナンバー」の「危険な関係」

まず国民の国への信頼がなければ
野口 悠紀雄 プロフィール

マイナンバーをワクチンパスポートに使ってよいか?

しかし、問題はここで終わらない。もっと重大で、根本的な問題がある。それは、マイナンバーをこの目的のために使えるかという問題だ。

これは、デジタルな仕組みに関するものだ(紙の証明書を用い、マイナンバーカードを本人証明だけに使う場合には、マイナンバーが使われないので、この問題は生じない)。

ワクチンの接種状況は、VRSという仕組みによって管理されている。ここでは、全国民の接種状況が、マイナンバーによって一元的に管理されている。

ワクチンパスポートを作るとすればデータベースが必要であり、全国民を把握できるデータベースはVRSしかない。したがって、ワクチンパスポートはVRSを使うことになる。つまりマイナンバーを利用することになる。(地方自治体が、各々が管理するデータベースを用いて、マイナンバーを用いることなく、デジタル・ワクチンパスポートを発行することも考えられなくはない。しかし、煩瑣であり、現実的ではないだろう)。

 

ところで、マイナンバーの利用対象は、社会保障、税、災害対策と限定されている。VRSでの利用は、マイナンバー法の例外規定を適用して、例外的に可能となったものだ。

VRSは国や自治体だけが利用できるものであり、一般の国民が利用できるものではない。しかも、ワクチン接種の管理は、国民の生命にかかわる重大事だ。こうしたことから、例外的にマイナンバーの利用が認められているのだろう。

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