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「危ない」「やめて」「できないから」気遣う言葉に認知症当事者が感じていること

認知症の私から見える社会(2)
39歳でアルツハイマー型認知症と診断されて8年、全国を飛び回り、300人を超える認知症当事者と対話し続けている著者、丹野智文。彼だからこそ書けた当事者の「本音」、そしてよりよく生きていくための著書『認知症の私から見える社会』から注目の章をピックアップしてお届けします。
認知症当事者700万人時代を迎え、すべての人のすぐ隣にある世界をもっと知るために。

みなさんに考えて欲しい当事者の言葉

私は、自分が認知症の診断を受けてから300人を超える当事者と出会い、じっくりと話をしてきました。当事者の相談窓口、ピアサポート(当事者同士の話し合い)活動、全国からメールで相談があれば、直接当事者の家にも訪問してきました。

いままで当事者は病識がない、自分の行動を認識できていないと思われてきましたが、これから紹介するのは認知症当事者から直接聞いた言葉です。

多くの当事者が言った言葉で私が大切だと思い書き留めていたものです。

「家族から車に乗らないでと、きつく言われ、車や鍵を隠されて免許証を奪われた」

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事故を起こしたこともないのに認知症と診断名がついただけで、危ないから運転はやめたほうがいい、道に迷ったら大変と言われたが自分は納得ができなかった。

事故を起こして人をひいたら大変なことになると言われても、それは認知症でなくてもみんなも同じだし、いままで事故を起こしたことはないので大丈夫だとは思ったが、何度も言われるので、遠くには行かないようにしたり、乗る頻度も減らし、自分では注意をしていた。しかしある日、車の鍵がなくなったと思ったら買い取り業者が家に来て勝手に車を持っていってしまった。

 

その後免許証も返納させられたが、車がないとどこにも行けないし、趣味のゴルフや庭でのガーデニングの土なども買いに行けなくなり何もできなくなってしまった。

「すべてを奪われた」

一人暮らしをしていて、車で全国を旅行することが好きだったが旅行中に道がわからなくなり、学生に警察を呼んでもらったことがきっかけで認知症の検査入院をした。検査入院で認知症と診断され退院するといままで住んでいたアパートが解約されてしまった。認知症と診断されたために家族が一人暮らしは危ない、施設や病院へ入ったほうが安心と勝手に決めてしまったのだ。

認知症と診断されたら行動を制限され、免許証は取り上げられ、自分のしたいことが一人でできなくなった。

いままでは自由に遠くまで出かけることができたのに、出かけられなくなり、財布も家族が持っているのでお金も持っていない。何も自分の思うようにできない状態になった。

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