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『ハコヅメ』が、これまでの警察ドラマと「決定的に違っている」点

「新しいリアリティ」が視聴者を魅了
倉田 雅弘 プロフィール

コミカルな日常から、一転…

大雑把ではあるが、テレビドラマにおける警察・刑事ものの流れをまとめてみた。こうして見ると、黎明期には匿名的な捜査のプロフェッショナルとして描かれていた警察官像が、それぞれの時代の雰囲気を反映しながら、次第に血肉の通った人間として描かれるようになっていったのがわかるだろう。そしてドラマ『ハコヅメ』における警察官像は、その流れの最先端にあると言っていい。

ドラマ『ハコヅメ』の原作は、週刊モーニングに連載中の漫画『ハコヅメ~交番女子の逆襲』。原作者の泰三子は、某県警に10年務めた後、漫画家になったという異色のキャリアの持ち主だ。だからこそ、先に挙げたシュールなコントさながらの警察業務にも奇妙なリアリティが漂っている。

 

だが原作漫画においてもドラマにおいても『ハコヅメ』の魅力は、こうしたコミカルなパートとシリアスなパート――日常と非日常と言い換えてもいい――この2つのパートが混然と絡み合っていることにあると思う。

たとえばドラマ第3話で川合が、痴漢事案で被害者の女子高生の聴取にあたった際、配慮が足りず、彼女を傷つけてしまうくだりがある。その事案の再現見分が行われるのだが、使用される人形のあまりな雑な作りに思わずニヤけたその直後、目撃者の証言によって被疑者が取ったであろうおぞましい行動が再現されるのを見て、筆者は息を呑んでしまった。

『ハコヅメ』では度々、こうしたコミカルで日常的な場面から一転して、事故や事件といった非日常的な展開に突入する。それは警察・刑事ものというジャンルであれば当然かもしれないが、『ハコヅメ』で描かれるのが身近な世界の事件であるからこそ、それまでの他愛もないやり取りの積み重ねでつくられた日常が、突如非日常によって打ち砕かれる衝撃は大きい。

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