ミャンマー問題に関するASEAN合意「暴力の即時停止」がいまだに実現されない背景

大塚 智彦 プロフィール

インドネシア主導の仲介工作

ミャンマーのクーデター発生を受けてASEANはすぐに動き出した。2月4日にはマレーシアのムヒディン・ヤシン首相(当時)がインドネシアのジョコ・ウィドド大統領と会談を持った。

ヤシン首相は「ミャンマーの政治的混乱は地域の安定、安全を妨げる恐れがある」と懸念を表明し、ジョコ・ウィドド大統領も「ミャンマーの政治発展を懸念しており、法に従った政治的問題の解決を望む」と同調、それぞれの外相にミャンマー問題を協議するASEAN会合に向けた調整を指示した。

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これを受け2月17日にはインドネシアのルトノ・マルスディ外相がASEAN議長国のブルネイとミャンマーに厳しい姿勢をみせていたシンガポールを訪問し、ASEAN会合の実現に向けた調整と根回しを行ったのだった。

そして2月24日、ルトノ外相はタイのバンコクを訪問してドーン・ポラマットウィナイ外相とともにミャンマー軍政が外相として任命したワナ・マウン・ルイン氏との3者会談に臨んだ。

その席でルトノ外相はASEANとしてミャンマー問題にコミットしていく姿勢と即自暴力停止という要望などを伝えたとされる。ミャンマーのワナ・マウン・ルイン氏はクーデター後初めて外遊した軍政幹部となった。

インドネシアはマレーシア、シンガポールなどの「味方」を背景にASEAN臨時首脳会合開催に向けて大きく動き出した。

 

ところがASEANのメンバー国にはミャンマー軍政の後ろ盾となっているとされる中国との関係が深い「親中国」のカンボジアやラオス、さらに同じ軍出身のプラユット首相のタイなどがあり、ミャンマー問題への姿勢には温度差があった。

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