自動車、電機メーカー…資材の「急激な高騰」で「負け組」になるのはこんな業界

私たちの生活にも影響がある
加谷 珪一 プロフィール

自動車業界など大口顧客については、長期の取り引を維持する代わりに、割安な価格を提示していたとされるが、鉄鋼各社は物価上昇があまりにも激しいことから、自動者業界に対して値上げを通告し、自動車業界も渋々了承したとされる。それだけ今回のインフレの影響が大きかったことが分かる。

 

値上がりは今後も継続か

このほか、原油価格は1年で1.6倍、材木の先物価格は一時4倍にまで上昇したほか、半導体の価格も種類によっては2倍以上の価格になっている。半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、コスト上昇に対応するため、8月から最大20%の値上げを実施している。半導体については、コロナ後を見据えたIT投資の強化で全世界的に品不足となっており、価格の引き上げ以前に半導体そのものを入手できないという企業も多い。

現代の自動車はコンピュータのかたまりとなっており、自動車産業は半導体産業にとっても大口顧客となっているが、自動車業界では半導体の確保がままならず、トヨタ自動車をはじめ一部のメーカーでは減産を余儀なくされているのが実状だ。

各社は増産のための投資を強化しているが、ラインが整備されるまでには時間がかかることに加え、IT投資は今後さらに拡大する可能性が高く、半導体不足と価格高騰は当分の間、継続する可能性が高い。原油価格についても短期的にはピークとの見方が出ているものの、長期的に見ても値下がりしないとの見方を示す専門家は多い。その理由は、逆説的ではあるのだが、脱炭素シフトが今後、急ピッチで進むからである。

日本を除く各国では脱炭素政策が想像以上のペースで進んでおり、今後、石油需要は激減すると予想されている。需要が減れば価格は下がりそうなものだがそうではない。石油会社は今後、需要が大幅に減少することを理解しているので、油田に対する新規投資はもはや行わない。既存の設備と資金の範囲で、石油の需要が続く限り、最大の利益を上げようとするので、むしろ価格を引き上げる意向が強くなるのだ。

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