2021.09.19

鉄道会社は大丈夫? 「通勤文化」の生き残りがいよいよ怪しくなってきた

コロナ以前からの非合理習慣

通勤の減少はパンデミックのせいだけではない

中国・武漢発の新型肺炎が世界的に流行し始めてから、おおよそ2年が経つ。この世界的パンデミック(とその恐怖)は、日本を含む世界の経済・社会に甚大な被害を与えた。

しかし、9月16日公開の「東大寺の大仏を建立した『厄病退散』文化復活でコロナ禍を乗り切れ」で述べたように、過去のパンデミックはおおむね3年程度でピークが収束し、その後は「ウイルスとの共生社会」となる。

それでは、ウイルスが日常の一部となり「恐怖」が過ぎ去った後の、経済・社会はどのようになるのであろうか? 一般的には「時間はかかるかもしれないが元通りになる」とのイメージがもたれているようだが、本当にそうであろうか?

もちろん「ネバーエンディング緊急事態宣言」や「現代の禁酒法」によって抑え込まれていた部分は、「抑圧」が解き放たれれば、元通りの需要が戻るかもしれないし、またそう願っている。

だが、9月13日公開「第2次大戦前夜と酷似、『ポスト菅・バイデン』の時代を捉えなおそう」で述べたように、今回のパンデミックは、過去の世界大戦同様、世界の構造そのものを変えてしまうほどの影響力を与えるのではないかと考えている。

つまり、「構造そのものが変わってしまうから、もう元には戻らない」ということである。世界的な構造変換については、前記記事を参照いただきたいが、我々の身近な存在の「通勤文化」も構造転換するのではないかと考える。

ロンドン地下鉄、ピカデリー駅出入口   by Gettyimages  

そもそも、我々が当たり前だと考えている「通勤」という文化が始まったのはロンドン地下鉄が開通して以降のことであり、太古の昔から人間は「職住近接」が当たり前であったのだ。

実際、パンデミックが始まる前から、「通勤」の非合理性は色々と議論されてきた。

バブル時代には、都内や近郊の住宅はとても庶民に手が届かないほど高騰したのだが、「住宅(土地)価格は永遠に上がる」という神話があったため、多くの人々が価格は比較的安いが都心からはかなり離れた地域に多額のローンを背負って家を買った。

その結果、朝5時に起床し、深夜遅く帰宅するという「地獄」のような日々が続き、週末はひたすら寝ているという事例がよくメディアを騒がした。しかも、バブル崩壊後に購入した住宅の価格は暴落し、借金だけが残ったというおまけつきである。

 

また、まだアパルトヘイトが残っていた時代の南アフリカの黒人たちは「黒人居住区」以外に住むことは認められず、「白人居住区」での労働のために毎日通勤するのだが、その手段が限られていて、仕事そのものよりも大変であったという話を聞いたことがある。まさに通勤がもたらす「悲劇」だ。

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