「45歳定年」も話題…終身雇用が「日本人の働き方」を貧しくしている可能性について

前川 孝雄 プロフィール

どうしてもリストラせざるを得ないならば、正社員、特に幹部層などのうち、会社を辞めてもやっていける強い人から切るべきで、現場で懸命に働く人ほど守るべきだ。いざという時に現場で働く人の多く、何より弱い立場の人から切り捨てるのなら、雇用を守ることにはなっていない。

昭和のころのように専業主婦世帯が一般的であり、妻が働くとしても大黒柱として正社員で働く夫の扶養控除範囲内の非正規雇用を選ぶことが多かった時代であればまだいい。しかし現代はシングルマザー家庭も多く、結婚を選択しない独身者も増えている。家計を支える担い手が非正規雇用である場合も少なくない。こうした弱い立場の人たちから切り捨てる経営は人を大切にしているとはいえない。

 

果たして、正社員は守られているのか

第二に、果たして正社員は本当に守られているかどうか。日本では、長らく賃上げより雇用が重視されてきた。その結果、短期的には正社員は安堵できたかもしれないが、長期的には賃金の伸びは先進諸国のなかで1人負けし続け、現在の年収レベルは最下位に陥っている。

安いニッポン』(中藤玲、日本経済新聞社)によると、「米住宅開発省がサンフランシスコで年収1400万円の4人家族を『低所得者』に分類した」という。またOECDデータを用い、2019年の購買力平価レートで全労連が世界16カ国の平均年収を比較したところ、日本は3万8617ドルで最下位となり、1位スイスの6万6567ドルの6割に届かない。

2003年に『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)をベストセラーにした森永卓郎氏は、2020年には『年収200万円でもたのしく暮らせます』(PHP研究所)を出版している。賃金が上がらないにとどまらず、高齢化の進展により、所得税などに加えて第二の税といえる社会保険料は上がり続けており、消費税増税もあり、手取り収入、可処分所得はさらに減り続けている。

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