「45歳定年」も話題…終身雇用が「日本人の働き方」を貧しくしている可能性について

前川 孝雄 プロフィール

各種助成金や給付金は、当初手続きの遅れこそあれしばらくは有効だった。しかし、それらで補える期間をはるかに超えた営業自粛やサービス需要の喪失が続いている。特に飲食、宿泊、観光などのサービス業を中心に、動きを止められた状態で1年半が経過し、もはや我慢の限界を超えている。

中小・零細企業のなかでは、休業支援金・給付金がもらえれば働かずに生活できるとするフリーライダー状態の経営者も出てきている。その一方で、ただでさえ破綻しつつある国の財政頼み経営の異常さを問題視し、なんとか営業活動を続け経営を立て直そうとする経営者もいる。私の知人にもそうした志ある飲食店経営者が少なからずいるが、そんな懸命な経営努力も、周囲からの苦情や自治体からの強い自粛要請で否定され、手足をもぎ取られた状態に陥り、気力も削がれてしまい、休業・閉店していく様子には胸が痛くなる。

この非常事態のさなか、経営者は何とか耐え凌ごうと資金繰りに奔走し、代替の商品やサービスを工面するなど、絞れる知恵と手を尽くし、社員の雇用を守ろうと努めてきた。しかし長引くコロナ禍による経営不振から、やむを得ず事業縮小とリストラを行い、それでも耐え切れずに廃業や倒産へと追い込まれているのだ。そもそも会社が潰れてしまえば、雇用を守るどころではない。

 

「雇用を守る」経営はすでに破綻していた

コロナ禍におけるちぐはぐな政策によって苦境に陥る企業経営について、私自身も企業経営者の一人として違和感を覚え続けているため、ついつい語りすぎてしまった。本題に戻そう。

企業が雇用を守ることとは、終身雇用で社員を雇い、リタイア後の年金生活まで保障するというものだ。しかし、この仕組みじたいがすでに破綻している。

第一に、現代では被雇用者の4割が非正規雇用となっている。飲食業・宿泊・観光業など、業態によっては第一線の働き手の大半がパート・アルバイトだ。経営が雇用を守るという時、主たる対象は正社員であり、非正規雇用の人たちは調整弁とされてきた。今回のコロナ禍でも、真っ先に契約を打ち切られ苦境に立たされているのはこうした弱い立場の人たちだ。

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