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「45歳定年」も話題…終身雇用が「日本人の働き方」を貧しくしている可能性について

会社のあり方や働き方が様変わりしている。日本企業の特長と言われてきた終身雇用や年功序列型賃金は事実上崩壊。企業内組合の組織率も2割に届かない。また、女性の社会進出、障がい者就労、高齢者の活躍、LGBTQの尊重など、進むダイバーシティ。パワハラ・セクハラ・リモハラなどハラスメント意識の高まり。兼業・副業の解禁・促進etc.。昭和に原型ができた日本の会社と会社員モデルは、平成〜令和にかけて、劇的に変化してきた。ここにコロナ禍も拍車をかけて、人々の働き方や生活様式、意識・価値観も変化している。

こうしたなかで、経営に問われるのは何をもって社員を大切にしているのかということ。こと欧米と比べて、事実上、解雇規制が厳しく、転職市場も未成熟な日本では、これまで「雇用を守る」ことが経営の美徳とされてきた。しかし、人生100年時代で定年がリタイアではなくなり、複数社をかけ持つ兼業者も増えるなか、そもそもの大前提が崩れてきている。

さらには、雇用を守ることは、社員を囲い込み、上意下達の村社会を形成することになりやすく、結果、身内を守るための不正や不祥事に至ったり、環境変化への対応が遅れたりするなど、企業成長の足かせになる事例も目立ち始めている。

では、令和の現代における「社員を大切にする経営」とはどのようなものなのか。日本を代表する大手企業を中心に400社以上で人材育成支援を手掛けてきた(株)FeelWorks代表取締役の前川孝雄氏が、この問題に向き合った最新刊『人を活かす経営の新常識 常識を疑い、固定観念を捨てれば、会社は変われる』の執筆背景をもとに考察する。

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昭和に生まれた経営の常識

日本の企業経営において「雇用を守ることが大切である」との考え方は、根強いものだ。昭和の半ば、経営学者のジェームズ・アベグレンは日本企業が戦後奇跡の発展を遂げたのは、「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」という三種の神器のためであるとした。以降の半世紀以上、雇用を守ることは経営の常識とされてきた。現代の会社モデルは昭和の高度成長期にでき上がったものといえる。

ただし、実態として終身雇用を維持できていたのは、深刻な経営不振に陥ることのなかった一部の大企業だけだ。それでも「雇用を守る」経営は広く支持され、中小企業においても、家族経営を標榜し、雇用を守ることに強い責任感を持つ経営者は少なくない。

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