小学校の教科書に「習近平おじさん」登場…中国の教育現場が「紅色」に染まり始めている

近藤 大介 プロフィール

「洗脳教育」と紙一重

日本では4月に新学期を迎えるが、これは世界的に見たらかなり特殊で、欧米では9月にニュー・セメスターがスタートする。これから論じる中国も、欧米にならって9月入学だ。

中国の教育界は昨年、コロナ禍で「リモート教育」を強いられるなど、異例の対応に追われた。だが今年の新学期は、また別な意味で、「異例の対応」に追われている。

8月24日午前10時、中国教育部(日本の文部科学省に相当)は、「2021教育金秋シリーズ・ニュース発表会」の第1回を開いた。この秋の新学期から、教育内容を一新するというのだ。この発表会は9月6日までに、テーマを変えて5回も開かれた。

中国教育部HPより

第1回のテーマは、「重大な主題を教育課程の教材に入れていく統合計画」。1時間25分にわたって、中国教育部の田慧生(でん・けいせい)教材局長、同・申継亮(しん・けいりょう)教材局一級巡視員、国家教材委員会の韓震(かん・しん)委員、北京師範大学北京文化発展研究院の沈湘平(ちん・しょうへい)執行院長が答弁に立った。司会進行は、教育部の続梅(ぞく・ばい)報道官である。

まずは、中央に座った田教材局長が、9月から学校教育の内容を変更する主旨を説明した。非常に長々としゃべったので、以下、その要旨のみお伝えする。

最初に話したのは、教育内容を変更する目的についてだった。

「全国の上から下まで、習近平総書記の『7・1』(中国共産党100周年)重要講話を真摯に学習し、貫徹している重要な時期に、一連の重大な主題を教育課程の教材に入れていくことに関する状況を、皆さんと交流できて、とても嬉しく思う。

習近平総書記の教材作りに関する重要論述と一連の指示、批准の精神を、深く着実に貫徹していくため、教材作りの国家事業を全面的に実行していく。確固として党の話を聞き、党と共に歩み、中国の特色ある社会主義の偉大な事業を継続させるために奮闘するという思想の信念を樹立していくのだ。

習近平総書記は、教育課程の教材は、根を培い魂を鋳造するものだ、知恵を啓(ひら)き増やすものだと強調している。根を培うとは、中国の根底にある特色をうまく引き出すことであり、魂を鋳造するとは、紅色(紅は中国共産党の党色)のゲノムを植えつけていくことだ。すなわち、児童・生徒・学生たちを愛党・愛国・愛社会主義に、高度に統一していくのだ」

このように、教育内容を変更する目的は、約2.5億人いると言われる中国の小中高大学生たちを、習近平総書記の指導に合わせて、「愛党・愛国・愛社会主義に統一していくこと」と述べている。

江沢民時代にも胡錦濤時代にも、「愛国教育」というのはあったが、「愛国」を「愛党」と「愛社会主義」でサンドイッチにし、現役の共産党総書記の個人名を付けた指導をしていくということは、行われてこなかった。

唯一行ったのは毛沢東時代で、中国全土の教育現場が「紅色」に染まった。別に他国の内政干渉をするつもりはないが、外から見ていると、いわゆる「洗脳教育」にも映る。もしくは、「社会主義教育」と「洗脳教育」は、そもそも紙一重のものなのかもしれない。

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