固定化された女性像。
それを破っていきたい

小林 以前、作家のアリス・マンロー(短編小説の名手として知られるカナダ人作家。2013年にノーベル文学賞受賞)が「フェミニスト作家と呼ばれることについてどう思いますか?」と尋ねられたときに、「“フェミニスト”という言葉が何を意味するかいつもちゃんとわかっているという自信はないですが」と前置きしてから、「女たちの経験は重要だと考えている点において自分はフェミニストだと、そう思っています」というふうに答えたという話を彼女の著書『ピアノ・レッスン』の訳者・小竹由美子さんのあとがきで読んだんです。そのときにすごく腑に落ちて。

だとしたら私もフェミニスト作家であるし、私もパクさんのように、男女の二項対立ではなく、自分を含めてさまざまな個性やバックグラウンドを持った女性ひとりひとりのことを思って、そのディテールを大切に描きたいと思っています。それをどう捉えるか、その判断は読んだ人の自由だし、委ねたいという気持ちがあります。

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パク 多くの人の頭の中で固定化された女性像や考え方を破りたいですね。

小林 パクさんはどうしてそう考えるようになったんですか?

パク 韓国の近代文学は男性を根幹にして発展してきたものですが、ジェンダー意識の高まりとともに、女性にまつわる物語を自由に創作できるようになった部分は大きいです。

小林 日本の近代文学も同じだと思います。