4歳の声を自治体施策に反映

2017年9月、筆者は民主主義教育の現場視察のためにドイツ・ベルリンを訪問しました。訪問先の一つが、高層マンションに囲まれた1階にある保育園(ベルリン市)でした。この保育園には園庭がありませんが、目の前の芝生広場、遊具、池などがある広大な公園を園庭代わりにしています。この公園は10数年前に整備されたままで荒れ始めたので、ベルリン市は、公園改修を行うにあたり、公園を日常的に利用している保育園児にヒアリングを行うということで、その現場に同行しました。

ヒアリングでは、6人の4歳男女児一人ひとりに、握りこぶし大の緑の球・赤い球がついた長い棒2本を持たせ、公園を散策。行く先々で「緑の棒(心地よいと感じる場所)」か「赤の棒(変えたほうが良い場所)」を4歳児が地面に差します。「砂場の砂がサラサラしていて気持ちいい(緑)」「階段のわきに滑り台があるといいなぁ(赤)」「昔は水遊びができたみたいだけど犬が入るから遊べなくなった(赤)」など思い思いを4歳の子が話し、ベルリン市の職員が聴き取ります。「子どもは〇〇と思っているに違いない」と決め付けたり、半人前扱いするのではなく、当事者が年齢に応じて思いを伝えることができるよう工夫するのは当然のことだと職員は語っていました。こうした取り組みの積み重ねがドイツでは長年取り組まれており、このことが主権者としての意識を高め社会参画につながっているのです。

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また、ハンブルグでは、2018年9月、小学生150人による「スマホばかり見ないで僕と遊んでよデモ」が行われました。ドイツでは、小学校で、デモのやり方を教えているのです。民主主義の基本は他者との自由な議論ですが、その土壌を小学校から作っています。小学校で「抗議から社会運動までの手順」を学ぶ機会を保障し、実際に小学生がデモを行い、民主主義を実践しているのです。

2014年にノーベル平和賞を最年少(当時16歳)で受賞したマララ・ユスフザイさん、気候のための学校ストライキを15歳の時から行ったスウェーデン環境活動家のグレタ・トゥンベリさんなど、海外では、10代であっても、問題意識を抱いたら社会的に活動を行い、社会に働きかけるのが当たり前です。諸外国においては、社会の動きについて子ども時代から関心を持たせるために、学校や家庭、社会が取り組み、子どもも社会を構成する一員として社会参加することを奨励しています。そして当然のことながら、おとな自身も、社会に参加しています。

2019年国連でのスピーチで一躍注目されたグレタ・トゥーンベリさん。彼女は2017年、15歳のときに環境問題を訴えるためにひとりでストライキをはじめた Photo by Getty Images

国連も、年齢や性別関係なく、必要であれば当事者の声を取り上げている。若者だからといって特別扱いするのではなく、一人の市民としてその声を受け止め、施策に反映しています。それが当たり前で、普通なのが、国際水準なのです。

若者の選挙離れや政治離れを懸念するのであれば、まずは、そのまちで暮らしている若者、そして、子どもの声に耳を傾け、そこで出た意見を、行政施策につないでいくことが大切です。それは何よりも、地域の担い手を育て、社会を創っていくということにほかなりません。

投票所に親子と一緒に行き、途中で選挙ポスターをみながら「●●ちゃんは、どの人がいいと思う?」「お母さん、どうして男の人ばかりなの?」「おじいちゃんばかりだけど、僕のことを分かってくれるのかな?」「〇〇党ってなに?」「お父さんは、誰がいいの?」といった会話をするだけでも、りっぱな主権者教育となり、子どもに地域や社会を意識づけさせることにつながるのです。

2021年10月17日の衆院選前に「リアルな声」を集めています!

林さんが以下の実行委員に加わっている「目指せ!投票率75%」プロジェクトでは、生の声を集めるアンケートも実施しています。
詳しくは「目指せ!投票率75%」公式HPをご覧ください。

〈実行委員メンバー〉
渡辺由美子 NPO法人キッズドア代表
藤沢烈 一般社団法人RCF代表理事)
林 大介    模擬選挙推進ネットワーク代表・事務局長
井田 奈穂 選択的夫婦別姓・全国陳情アクション事務局長
松中 権     ゲイ・アクティビスト
室橋 祐貴 日本若者協議会代表理事
細谷 柊太 NPO法人ドットジェイピー
尾上 瑠菜 NPO法人ドットジェイピー

〈アドバイザー〉
荻上 チキ    一般社団法人社会調査支援機構チキラボ代表
佐藤 大吾    NPO法人ドットジェイピー 理事長
三浦 まり    パリテ・アカデミー共同代表、上智大学法学部教授、政治学者
宮本 聖二 立教大学大学院/Yahoo!ニュース プロデューサー
参考資料
総務省公表資料 http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu

内閣府「子ども・若者白書について」
https://www8.cao.go.jp/youth/suisin/hakusho.html

高校生の社会参加に関する意識調査報告書 https://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/151/

NHK「僕らがちんじょうしたわけ」2019年12月17日
https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20191217.html

「怒りの“やめろ”コール沸き上がる ドイツの小学生、大人に抗議して街頭デモ敢行」クーリエジャポン、2018年9月28日 https://courrier.jp/news/archives/138011/?ate_cookie=1581641487