「職業人としての自分」をしっかり持った女性たち

――虚実がない交ぜになっている作品ですが、柄本さんも俳優の仕事をしていてそういう瞬間があるのでしょうか。

柄本:それは日常茶飯事です。人と人とが話せば虚実がない混ぜになるのではないでしょうか。というのも、人はその時々によって考えることや気持ちは変わってしまいます。自分でよく考えて口にしたことでも、後からやはり違うのではと思ってしまう。

この映画に登場する「マンガのセリフを消しゴムで消して書き直す」というシーンはまさにそのことを表しています。

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』より
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――車に乗れなかった佐和子が、最後、颯爽とハンドルを握る姿が印象に残りました。

柄本:不倫された女性が羽ばたいていく姿に気持ちよさを感じる人は多いと思います。タイトルは『先生、私の隣に座っていただけませんか?』ですが、佐和子の隣に乗っているのは漫画家の俊夫なのか教習所の先生の新谷なのかはわかりません。

物語が進むにつれて、佐和子がハンドルを握るドライビングに俊夫が巻き込まれていく。なので、俊夫に感情移入してこの映画を観る方は多いかもしれません。

俊夫は感情の浮き沈みがありますが、佐和子や千佳にはそれがない。妻の佐和子も不倫相手の千佳も「職業人としての自分」をしっかり持っています。この映画は「女性がカッコいい」映画なんです。

先生、私の隣に座っていただけませんか?』は9月10日(金)より新宿ピカデリー他全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2021『先生、私の隣に座っていただけませんか?』製作委員会