妻の決断は「制裁」なのか「救済」なのか

――物語の最後、佐和子は不倫をしていた俊夫に対してある提案をします。佐和子は俊夫とつながり続けることを望みますが、その内容についてはどのように感じましたか?

柄本:詳しい内容についてはぜひ映画を見て欲しいのですが、この提案が佐和子から俊夫への「救済措置」なのか、俊夫へ負担を掛けるという「制裁」なのかは、キャスト・スタッフの中で、男性と女性で意見が分かれました

女性の側からは「救済措置」、男性の側からは「制裁」という声が多かったです。監督は「救済措置」と捉えたようですが、僕自身は「制裁」と捉えました。

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』より
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――男性のほうがかつて交際した女性とつながりを持ち続けたがるような気もします。そうすると、「救済措置」と捉えるのが自然なのではないでしょうか。

柄本:確かに、いつまでも引きずるのは男性と言いますよね。撮影に入る前の本読みの段階で監督に「これはどちらなんですか?」と聞いた後、「救済措置」という回答があった時に、僕は「そうだったんだ……」と思いました。

俊夫としては「制裁」と捉えたほうが気がラクだったかもしれません。自分がした不倫に対して「救済措置」を出されたら、自分が「かわいそうな立場になった」ということを自覚しなければならないというか。

「救済措置」であるとして、それを佐和子の側からみると、夫としては俊夫を見限ったのかもしれませんが、漫画家としては尊敬している部分があったのではないでしょうか。どう受け取るかはその人次第かもしれません。