漫画家夫婦の不倫を描いて話題の『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(堀江貴大監督)が、9月10日より公開中だ。

かつて自分のアシスタントだった妻の佐和子は売れっ子漫画家になったのに、ベテランの自分は5年間もスランプに陥って描けないでいる……。そんななか、妻の担当編集者と不倫関係に陥ってしまった夫・俊夫を柄本佑さんが演じている。

妻が「不倫」をテーマにした漫画を連載しはじめ、そこで自分の不倫が描かれていることに気づき、じわじわと追い詰められていく俊夫。本作を演じて柄本さんが考えた、「過ち」の果ての夫婦のあり方とは。

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』
結婚5年目の夏、漫画家の早川佐和子(黒木華)は、同じく漫画家の夫の早川俊夫(柄本佑)と自分の担当編集者である桜田千佳(奈緒)と俊夫の不倫に気付く。
新作漫画のテーマを「不倫」にし、連載を開始した佐和子。自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれた俊夫は「もしかしたらバレたかもしれない」と精神的に追い詰められていく。一方、自動車教習所に通い始めた佐和子は、教習所の先生の新谷歩(金子大地)に淡い恋をする。
漫画は創作なのか? それとも佐和子流の復讐なのか? 俊夫は恐怖と嫉妬で現実と漫画の境界が曖昧になっていく――。
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「中立的な立場」の不倫映画

――「漫画で不倫バレに気づく」という台本を読んだ時、どのようなことを感じましたか?

柄本:「漫画家の妻が夫の不倫を漫画で指摘する」という設定は新しいと思いました。しかも、変にドロドロせず、暗くならないでウェルメイドなエンターテイメントとして成立しています。

この物語には、ある種の爽やかさと「佐和子は自分の不倫に気が付いているのか?」「漫画は現実なのか?」というスリリングな2人の心理戦があります。コメディでもあり、ミステリーでもある。映画の持つさまざまな要素が綺麗に落とし込まれていると感じました。

また、男性の監督が不倫を描くと、例えば「不倫を許してあげる」というような「男性よりの視点」のものになりがちですが、堀江監督は真ん中の立場に立っていると思いました。

『先生、私の隣に座っていただけませんか?』より

――「不倫をされる妻」というと、「妻が弱者」で「夫が強者」という感じがしますが、夫役の俊夫は終始、妻の佐和子に翻弄され続け、最後は女性がスカッとする内容になっています。俊夫を演じるにあたって何か意識したことはありましたか?

柄本:最初から堀江監督には明確な俊夫像のイメージがあったように思いました。脚本の中に「俊夫の追い詰められるほどに滑稽になる感じ」についての説明はあったので、僕自体はあえて何かを意識するということはなかったです。

ただ、俊夫にとっては佐和子の不倫疑惑は深刻な問題なのですが、それを全面的に出し過ぎないようにはしました。その「深刻な部分」は俊夫の演技ではなく、別のベクトルから掘り下げようと。その辺りは堀江監督と相談しながら進めていきましたね。