うちの家系で、
芸能の仕事についたのは私が初代(笑)

「朝日座」に関係する人々にとって、最初、莉子の存在は謎だったが、話が進むにつれ、莉子が映画好きになった経緯や、「朝日座」存続に賭ける思いが解き明かされていく。大切な人の思いを受け継ぐべく、莉子は映画館の再建に必死になるのだが、高畑さん自身は、誰かの思いを、後世に繋いでいきたいと思ったことはあるのだろうか。

「私は一人っ子なので本来なら私は家業を継ぐべきだったのですが、ミュージカルがやりたくて地元を飛び出してしまった。我が家系では、芸能の仕事に就いたのは私が初代なんです(笑)。なので、何かの意思を受け継ぐような感覚は今まで持ったことがなくて。でも最近は、ミュージカルなどで、いわゆる長く演じ継がれている名作に出演する機会も増えてきて、後世に伝えるための一つのピースになる経験が増えてきた。そうしたら、演じ継ぐことに意義を感じるようにもなったんです。ものづくりの世界では、何かを生み出すことが美学だと思っていたけれど、そうじゃなくて、いいものを継いでいくことも美学なんだなぁって」

Photo by Aya Kishimoto
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映画は、莉子のついた小さな嘘から、物語が展開していく。「嘘をつくことについてどう思いますか?」と質問すると、高畑さんは「嘘はついたほうがいいと思います」と言った。

「馬鹿正直でいる方が周りを傷つけることって多いような気がして。『私は嘘がつけないんです』という正義を振りかざすのは簡単だけど、そう宣言してしまえば、周りの人を薙ぎ倒してもいいのかっていうと、それも違うんじゃないかなって。私も嘘はあまり上手じゃなくて、すぐ顔に出ちゃうんですが、それで、人を薙ぎ倒さないように気をつけなきゃとはいつも思っています。それに、本当のことを本気で喋るのは恥ずかしいので、嘘で包んだ方が、意外と本音を伝えられたりしますよね。人を傷つけないための嘘、相手の気持ちを思いやる嘘は、あっていいと思います」