10代の頃は、大人が信じられなかった。

「10代の頃は、心を閉ざしていましたね。自分の殻に閉じこもって、人とコミュニケーションを取るのも苦手な方でした」

高畑さんが主演する映画『浜の朝日の嘘つきどもと』が現在公開中だ。映画の舞台は福島県南相馬市。商店街にある潰れかけの映画館「朝日座」を再生させるためにやってきたという謎の女性・茂木莉子を演じた。コロナ禍の中で映画館の再興に賭ける現代と、東日本大震災のあと、莉子が家族との関係を拗らせ、恩師の家で引きこもっていた10年前の二つの時間軸で、物語は進んでいく。冒頭の言葉は、「10年前の莉子を演じながら、昔の自分を思い出していた」という発言に続くものだ。確かな演技力と色とりどりの感性で、若手を代表する実力派として、作り手からも視聴者からも絶大な信頼を得ている高畑さんが、10代の頃心を閉ざしていたというのが意外だった。

「高校に進学するタイミングで上京したのですが、当時は思春期の真っ最中でしたから、『大人なんか信じられない!』とガチガチにバリアを張っていたんでしょうね(笑)。人の目を見て話すこともできなかったし、よく知らない人に心を開くことも苦手だった。一人っ子だったこともあって、元来、一人遊びも好きなんです。当時は、仕事では人と関われていましたが、それ以外は、一人で楽しめることを見つけて、黙々と過ごしていました。自己完結していたんだと思います」

Photo by Aya Kishimoto
-AD-

何がきっかけだったのかは定かではないが、20歳前後で、人と触れ合うことやコミュニケーションをとることが好きになった。

「私は、“人は、変わる”ということを身を持って感じています。変わるきっかけはそれぞれですが、でも、そこに人との出会いが絡んでいることは少なくないように思います。たとえば、この映画を撮影したのは去年の7月から8月にかけてだったのですが、私にとっては、コロナ禍での自粛期間が明けて最初の仕事になりました。去年の4月から6月にかけての最初の緊急事態宣言が発令された時期は、誰もがそうだったように、私自身も、明日がどうなるかわからなかった。それまで当然にあった光景が急に目の前から消えたり、急に何もかもが変わっていった時期でした」