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荒廃中国社会―野次馬たちは白昼、公道の強姦事件を止めずに眺めた

07年から始まった「世も末」な風潮

堂々の犯行と堂々の傍観

広東省佛山市順徳区公安局は2021年8月25日付の「警情通報(事件発生通報)」で次のような内容を報じた。

8月23日17時頃、「順徳区大良街道の広源区間で犯罪容疑者を取り押さえた」との110番通報が入ったので、警察官が速やかに現場へ出向き、事件を処理した。事情聴取によって、女性被害者が歩いて現場を通りかかった時に、李某という容疑者の男性に抱きつかれて地面に倒されたが、それを目撃した付近の人々がその場で李某を取り押さえて警察へ通報したことが判明した。取調べを経て、李某は今年7月に広西チワン族自治区にある実家から順徳区大良街道へ移り住み、母親と同居していることが判明した。その供述によれば、近頃は生活が思い通りに行かないことから、違法犯罪を行おうという気持ちが生じたのだという。現在、李某は公安機関によって法に基づき刑事拘留されており事件は現在取調べ中である。                             佛山市順徳区公安局                                   2021年8月25日

この事件は8月25日にあるネットユーザーが現場に設置されていた監視カメラの映像をSNSのミニブログ「微博(ウェイポ―)」に動画として投稿したことで、中国全土に知れ渡ることとなった。当該動画の内容は次のようなものだった。

(1) 広東省の夏は夕方になっても強い日差しが照り付けていて、17時頃までは「白昼」と言っても何らの違和感がない。8月23日のそんな白昼の16時半頃、佛山市順徳区大良街道にある居酒屋「人人永福酒楼」(以下「酒楼」)の門前をベージュのワンピースを着てマスクをした女性が1人で歩いていると、横手から白の半袖シャツを着た男が突然現れた。

(2) この男が女性に接近したと思った刹那、男は何を思ったのか右手を彼女の首に掛けて女性の身体を引き寄せると、女性に背後から抱きついて酒楼の門前の歩道に押し倒した。彼女は男から逃れようと懸命に抵抗して、何とか一度は立ち上がったが、男は再び彼女を歩道脇の地面に押し倒すと馬乗りになり、彼女の服を無理やり脱がせようとした。彼女は服を脱がされまいと拳を振り上げて必死の抵抗を試みると同時に漸く「助けて」と大声で叫ぶことが出来たのだった。

広東省仏山市

(3) この叫び声を聞いて、酒楼から客や従業員を含む10人前後の男達が飛び出して来たし、その周辺にいた7~8人の男女も集まって来て、総勢20人程が眼の前でもみ合う2人を遠巻きにして野次馬見物を始めたのだった。当初、彼らは恋人同士の男女2人が痴話げんかの末につかみ合いに発展したのだと思い込み、争う2人を見て興味津々で、動画を撮影する者もいたが、見れば見る程2人の様子は尋常でなく、女の切実な様子から見て、性的欲求を満たそうと男が女を強姦しようとしていることは明白であった。

(4) そこで、酒楼から出て見物していた客と思われる赤の半袖シャツを着た中年男性が意を決し、おもむろに男の腕を掴んで女から引き離し、男を後ろ手に取り押さえたのだった。不思議なことに、男は観念したかのように何らの抵抗もすることもなく取り押さえられたが、これに対して男の魔手から逃れられた女はショックの余り動顛して身動きできず、その場に座り込んで泣きじゃくっていたのだった。

被害者の女性は佛山市順徳区の杏壇鎮に住む31歳の麦某某であったが、容疑者で26歳の李某某とは一面識もない赤の他人であった。「警情通報」が報じたように、容疑者の李某某は、隣接する広西チワン族自治区から、1カ月前の7月に母親と一緒に佛山市へ出稼ぎに来たばかりだった。恐らくコロナ禍で職探しも上手く行かずに困窮し、女性を強姦することでその性的不満を手っ取り早く解消しようとしたものと考えられる。

 

しかしながら、白昼堂々と人や車の往来が多い通りで見ず知らずの女性を強姦しようとするなどという話は、長年中国と関わりを持つ筆者も今まで聞いたことがない。性的欲求の不満を解消しようと女性に襲いかかるなら、夜間に人通りの少ない場所を選ぶのが通例だが、李某某はそんなことを考える余裕もないほどに性的に飢えていたということなのか。

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