「神を信じない人」が増えているアメリカで、いま起きつつある「重大な変化」

日本人も無関係とは言い切れない
岡本 亮輔 プロフィール

そしてエプスタインは、ヒューマニズムの長所は常に疑問を持ち続ける点にあるとする。キリスト教をはじめとする既存の宗教は、過去に誰かが命令したことや指示したことを絶対的で不動の真理とし、それを自分たちの倫理や道徳の源泉とする。

だが、例えば以前はキリスト教徒が肯定していた奴隷制も現在では禁止されたように、時代と共に倫理道徳は変化すべきである。そして、そのためには時代を超越した真理や倫理道徳の存在を否定し、人間理性に基づいて常に疑問を持ち続けなければならないというのである。

エプスタインは、実に明快に伝統宗教の問題点をえぐり出し、それに代わる考え方を示してくれる。彼のヒューマニズムは、今後の米国における知的でリベラルな無神論のモデルになるように思われる。

 

他方、エプスタインの著作の副題「10億人の無宗教者が信じること」にあるように、世界的に見れば有神論者の方が圧倒的多数で、無神論者が少数派だからこそ、エプスタインの著作やチーフ・チャプレン就任はインパクトを持って報じられた。その点で興味深いのが、世界で2番目に無神論者・無宗教者が多いとされる日本である。

2018年のNHK放送文化研究所の調査によれば、信仰する宗教がある日本人が36%なのに対し、信仰する宗教がない人は62%にのぼる。エプスタインがいう「10億人」のうち、日本人が占める割合は少なくない。

だが、日本人の半数以上が時代を超越した真理や倫理道徳の存在を否定し、人間理性に基づいて常に疑問を持ち続けるといったエプスタイン流のヒューマニズムの立場であるとは思えない。今回の出来事は、日本人の倫理道徳を再考する機会でもある。

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