「神を信じない人」が増えているアメリカで、いま起きつつある「重大な変化」

日本人も無関係とは言い切れない
岡本 亮輔 プロフィール

その中でも異彩を放つのが、今回、このチャプレン・チームのチーフに選出されたグレッグ・エプスタイン(1977年〜)である。彼は、ニューヨークのユダヤ人家庭で育ったが、現在は無神論者を名乗る。宗教者だからこそ俗人とは異なる観点から深い助言や霊的な指導ができるというのがチャプレン制度の思想のはずだ。なぜ無神論者のチャプレンが存在し、しかもチーフに選出されたのだろうか。

ハーバード大学チャプレン・チームのチーフに選ばれたグレッグ・エプスタイン[Photo by gettyimages]
 

米国の「無神論者嫌悪」が変化している

米国社会における宗教、とりわけキリスト教の存在感と重要性は改めて指摘するまでもないだろう。大統領は就任に際して聖書に手を置いて宣誓し、聖書を文字通りに解釈し、進化論を否定するような人々もいる。そうした米国社会では、無神論者に対して冷たい視線が投げかけられる。

今回のエプスタインの選出についても、クリスチャン・ポストのような福音派系のメディアは、キリスト教原理主義者を無神論者団体の責任者に任命したり、ユダヤ人団体のリーダーにイスラム教徒を選ぶのと同じような暴挙だと激しく批判している。またカトリック系メディアは、チーフ・チャプレンの仕事はあくまで事務的な管理業務であり、この役職自体がたいして重要なものではないと指摘している。

興味深いデータを2つ挙げよう。2019年、無神論者も含めた各宗教の信者に対し、米国人が抱く感情的な「温かさ」の度合いが調査された(https://www.pewforum.org/2019/07/23/feelings-toward-religious-groups/)。温かさは0から100で示され、100であれば、その宗教に対して最も温かい感情を持っている、つまり共感的で肯定的ということだ。

結果は、ユダヤ教徒に対する63が最高であり、それにカトリック(60)、主流派プロテスタント(60)、仏教徒(57)が続く。一方、無神論者は49であり、これはイスラム教徒と同じく最低の数値である。

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