2021.09.16
# サッカー # SDGs

スポーツから“見返り”を求めることは「悪」なのか…? 日本におけるスポーツスポンサーシップの課題

前回の記事https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85703)では、リバプールFCの事例をヒントに、SDGsにおけるリスク回避のためには企業として「哲学を持つ」ことが必須であることをお伝えした。

今回は、「SDGsを一週間で世界の70億人に広める」ことを後押ししたリバプールFCの“発信力”という最大の強みに改めて着目し、東京オリンピック・パラリンピックでも注目を浴びた「スポーツスポンサーシップ」の価値について考察していく。

なぜスポーツに投資するのか

今回の東京オリンピック・パラリンピック期間中、スポンサー企業が行う様々なキャンペーンに注目された方もいらっしゃるのではないだろうか。オリパラ招致が決まってから、日本のビジネス界でもスポーツコンテンツへのスポンサーシップに対する関心が以前より高まったと個人的には感じている。

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スポーツ産業先進国のアメリカでは、全スポンサーシップビジネスの約70パーセントがスポーツ関連であると言われている。その次がエンタテインメント関連だが、その割合はわずか10パーセントほど。つまり、ほとんどのスポンサーシップがスポーツ絡みだ。

これは、アメリカが多民族国家であり、言語や宗教、政治観などが多様な中、スポーツがそれらを超える“共通言語”になっているという文化的背景があることが理由の一つとして考えられる。だからこそ、スポーツコンテンツは企業にとって投資する価値があるということだ。

アメリカは顕著な例だが、世界的に見てもスポーツスポンサーシップへの投資額は伸びており、2020年時点では570億ドルとされていた市場規模の需要がCAGR(年平均成長率)6.72%で2027年には896億ドルまで成長すると予想されている(ブランドエッセンス市場調査より)。

日本はどうかというと、政府はオリパラ招致決定後、スポーツ産業の活性化に向けてスポーツ関連市場を2025年までに15兆円に拡大すると目標を掲げた。招致が決まる前年の2012年時点でその規模は5,5兆円だったので、招致決定を機にその約3倍を目指そうということだ。

アメリカほどではないものの、基本的にはスポーツへの投資には「価値があるから増やしていこう」というスタンスだ。

しかしながら、スポーツ関連市場の中でも特にプロスポーツやオリパラなどの国際的イベントと関連が深いスポンサーシップにおいては、「どれだけの企業が投資のリターンを回収できているのか?」という疑問も湧いてくる。

スポーツスポンサーシップでは、その多くが多額な契約料を伴う。前回の記事で紹介したリバプールFCと公式メインスポンサーのスタンダードチャータード銀行の契約料も、年間4000万ポンド(約60億円)超と推定されている。

スポンサー企業の社名やロゴマークがスタジアムやユニフォームに掲示されているのはよく目にするが、そこに大金を投入する価値を改めて考えてみたい。

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