お金がある人だけが体験するものにしてはならない

そのとき思ったのが、「これは、お金を出して個人が体験するのもいいけれど、日本の教育の一環として取り入れたほうがいい」ということだった。
当然ながら、この施設の維持費、プログラム作成、アテンドスタッフへの賃金など、施設を運営するにはお金が必要だ。だから有料なのは当然なのだけれど、「お金に余裕がある人だけが受けられるもの」としてはいけないと感じた。パラリンピックを見てより一層、暗闇や無音を体験することで、障害があったり様々な人の状況を「自分事」と考えることができると思ったからだ。

2018年からコロナ感染拡大前にダイアログの体験も提供していた 写真提供/ダイアログ・ミュージアム「対話の森」
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志村真介さん・季世恵さんを中心としたスタッフは、「このプログラムを多くの人に体験してほしい」という願いから、「子どもたちに無料で体験してもらうために協力をしてほしい」と、クラウドファンディングを呼びかけた。そして、5000人の子どもを無料でダイアログ・ミュージアム「対話の森」に招待するというプロジェクトが実現することとなったのである。学校単位での応募、母校にギフトで送りたいという応募、「こども無料デー」への応募と3種類の無料招待枠があり、第1期は2021年12月から2022年12月までの開催を予定している。

コロナ禍の今では、「ダイアログ・イン・サイレンス」はマスクをしたまま体験する。本当は「視覚」は聴覚障害者にとってとても重要な情報だが、顔の3分の2はマスクで隠れたままで「対話」をするのだ。「しゃべらないルール」なので、飛沫の心配はない。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は暗闇の中で聴覚と触覚を頼りにするので、感染拡大が収束するまでは、体験人数や体験時間を制限し提供するほか、オンラインでもサービスを提供するのだという。アテンドスタッフは、感染を防ぐ方法を医師から学び訓練を受けているそうだ。

【DID】ダイアログ・イン・ザ・ダーク アカデミックプログラム紹介動画 出典/youtube ダイアログ・ミュージアム「対話の森」