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日本円の購買力が1970年代に逆戻りしてしまったことの意味とは

外国人材を呼べない、高齢社会に逆風

1990年代に、日本人は海外で貴族のような旅行をすることができた。ところが、その後、円の購買力が低下した。最近の購買力は、 2010年の7割程度で、1970年代前半の水準にまで戻ってしまった。

こうなったのは、円高になるとそれを阻止して、円安に誘導する政策が行われてきたからだ。つまり、日本は自ら望んで貧しくなったと言える。

この結果 、人材を日本に呼ぶことができなくなる。高齢化が進む日本にとって、これは深刻な問題だ。

90年代の夢のような豊かさ

1960年代の末、1ドル=360円の時代に、私はアメリカに留学して、貧乏生活を強いられた。当時の私の日本での月給は、2万3000円程度だった。ところが、留学先のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の周辺にあるアパートは、独身用一部屋でも、すべて100ドルを超えていた。日本とアメリカの豊かさの差を思い知らされた。

それから20年後の1990年代、事態は一変した。

わが家は、家族5人で、何度か欧米を旅行した。観光地で最高級のホテルを泊まり歩き、貴族さながらの旅をした。オリンピック、バルセロナ大会の頃のことだ。由緒あるロンドンのクラリッジズホテルに、家族全員で泊まったこともある。

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アメリカでの貧乏学生生活のカタキを取った気分になった。

それから暫くも、外国で優雅な生活をできる時代が続いた。

2005年には、アメリカ、カリフォルニア州のシリコンバレーにあるアパートに、1年間ほど住んでいた。スタンフォード大学の近くの、緑の環境に囲まれた素晴らしいアパートだった。

ところが、いまではこれらは、夢のような話になっている。家族5人で欧米の豪華ホテルを泊まり歩くことなど、想像もできない。シリコンバレーのアパートも、高くて手が出ないだろう。

 

1990年代、外国の学者は、「日本の大学に1年滞在したいのだが、生活費が高いので無理だ」と言っていた。いまはそれが逆になっている。日本の学者は、外国に収入源があるのでないと、簡単には外国で研究生活をするわけにはいかない。日本の学生が欧米の大学に留学するのも、ますます難しくなっている。

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