2021.09.25
# 企業・経営

「アジアNo.1アリーナを神戸に」“民設民営”で挑む新アリーナ計画に「勝算あり」なワケ

大島 和人 プロフィール

ストークスの現ホームは、築56年の西宮市立中央体育館。当初は隣接する立地や別の候補地での建て替えにより、新B1規格に対応するアリーナを用意する方向が模索されていた。

ストークスの試合風景/株式会社スマートバリュー 提供

しかし西宮市の前市長の退任もあり、新設計画は凍結される。渋谷オーナーは西宮市側の同意も得た上で、阪神間の用地を探していた。巡り合った最高の適地が神戸・三宮のウォーターフロント「新港突堤西地区(第2突堤)」だった。

三宮はJR、阪急、阪神、神戸市営地下鉄の結節点で、商業の中心地。新アリーナは各線の駅から徒歩15〜20分ほどの距離感で、BRT(連結バス)の路線もすぐ近くを通る。都市の中心部と近接しつつ、外国人居留地など観光地、リゾートの魅力を併せ持つ場所だ。第2突堤は貨物船などの船着き場として利用されていたエリアで、神戸市は周辺の再開発を進めている。

20世紀のある時期まで、港湾は賑わいを生み出す核だった。しかし世界中で港湾施設が市街地から離れた場所に移っている。まず単純に人間の長距離輸送は飛行機が受け持つようになった。荷揚げされた貨物を運ぶ大型トラックの便を考えれば、道が広く渋滞のない立地が望ましい。神戸港もポートアイランドなど埋立地に港湾機能が移り、第2突堤における人と荷物の取り扱いは大きく減っている。

 

一方でウォーターフロントの再開発は、世界的なトレンドだ。街づくりの過程ではアリーナやスタジアムのような施設が、地域のシンボルとして活用される。サンフランシスコにあるNBAゴールデンステイト・ウォリアーズのチェイスセンターもその好例だ。

チェイスセンター(photo by gettyimages)

神戸の新アリーナも港湾エリアを時代に合わせて再生させる、魅力的な街に作り変える呼び水だ。スマートバリュー社はNTTドコモ、NTT都市開発とコンソーシアムを組み、神戸市の再開発事業者の公募に対するプロポーザルを行って選考を突破した。

渋谷社長は振り返る

「最初に接触したのは2年ほど前です。当初は六甲アイランドの先に空き地があって、『ここでアリーナ建設はどうですか?』と神戸市からご案内いただきました」

残念ながらそこはスマートバリュー、ストークスにとって「夢のアリーナ」を実現するのに望ましい立地ではなかった。

その後も彼らは神戸市、西宮市など阪神間全域で用地を探していた。渋谷に最高のサジェッションを与えたのは、神戸市に本社を置くアシックスの尾山基会長。第2突堤の再開発の話が持ち上がった中で、その情報を渋谷社長に伝え、プロポーザルへの参加を力強く後押しした。

第1突堤は既に再開発が進行中だ。ホテルが建設され、今秋には水族館の開業も控えている。そして神戸市は第2突堤について文化、スポーツなど“賑わい施設”を建設する意向だった。これが新アリーナの建設地を模索していた渋谷たちの動きと合致した。

渋谷はこう口にする。

「(1995年の)震災から25年以上が経ち、神戸市さんはようやく街づくり、ウォーターフロントの開発に差し掛かった状態ですね。私たちはシドニーでいうところのオペラハウスのような、シンボリックな建物をぜひやりたい。かつて港には人や物資の移動をベースとした文化を発信する機能がありました。今度はエンターテインメントとかスポーツとか、共感の力で人が入ってくるゲートウェイとしてまちづくりの基盤になれればいい。それが私たちの思いです」

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