2021.09.25
# 企業・経営

「アジアNo.1アリーナを神戸に」“民設民営”で挑む新アリーナ計画に「勝算あり」なワケ

2016年秋に開幕したプロバスケットボールリーグ・Bリーグは2026年をメドに“第二の創業”へ舵を切ろうとしている。そんな動きへ大胆に挑んでいるクラブが、西宮ストークスだ。カテゴリーこそB2(Bリーグ2部)だが、10月に開幕する新シーズンに向けて元日本代表で、旧リーグ時代は4季連続で得点王に輝いた川村卓也を獲得。加えて神戸市内の新アリーナ建設に向けて動き出している。

この国では“ハコモノ”という表現が、おおよそネガティブな文脈で使われる。お役所が絡む文化施設、スポーツ施設はコストや使い勝手に難があるからだ。かといって国や自治体の資金がなければ、この手の施設は経済的に成り立たない――。少なくとも今まではそう考えられていた。

しかし神戸の新アリーナ計画は間違いなく、旧態依然としたハコモノとは一線を画するものになる。

“民設民営”アリーナという新挑戦

KOBE Smartest Arena(仮称/神戸アリーナ)は“民設民営”の施設として、新しいモデルに挑戦中だ。完成予定は2024年。市民がエンターテインメントを堪能する場でありつつ、機能とコストのバランスもシビアに追求される。神戸市と連携して進められるプロジェクトだが、経済的なリスクはこの事業に関わる民間企業のスマートバリュー、NTT都市開発が負う。

完成イメージ/株式会社スマートバリュー 提供
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タワーマンションやショッピングセンターの建設は、土地単体の経済性を考えれば合理的な行動かもしれない。一方でアリーナはスポーツや文化を振興し、賑わいで街を活気づけることでコミュニティの価値を高める施設だ。

 

なぜ今、「神戸」で「アリーナ」なのか…?

構想を進めている中心人物が、株式会社スマートバリューの渋谷順社長。B2・西宮ストークスのオーナーでもある。中学生から始めたバスケットボールを、いまだに時折プレーする愛好家だ。

株式会社スマートバリュー 渋谷順 社長

なぜB2クラブのオーナーがアリーナ構想に乗り出すのか。そこを読み解くにはまず渋谷社長と西宮ストークスとの“出会い”を振り返ってもらう必要がある。

「当時はまだBリーグの前です。確か2014-15シーズンから、個人でストークスの小さなスポンサーをしていたんです。そうしたら『実はお金が足りなくて』という話で、選手にサラリーがきっちり払えない状況になっていました。その1年前に大阪の実業団パナソニックが廃部となり、それを引き受けた和歌山トライアンズがリーグから撤退し、トライアンズの選手がうちに何人か来ていた。自分の(生まれ育った)関西でまた兵庫も……となるのは耐えられないので引き受けました」

上場企業として費用対効果を無視した支援は許されない。渋谷はまず個人でチームへの出資を行った。旧運営法人の債務は引き受けつつ新法人を立ち上げ、Bリーグ発足直前に自身が西宮ストークスのオーナーとなった。

経営がなんとか軌道に乗り、アリーナ計画にもメドが立った中で、2021年4月1日からはスマートバリュー社がストークスのオーナーになっている。そしてスマートバリューの子会社である「株式会社One Bright KOBE(ワンブライト神戸)」が、新アリーナの運営主体だ。

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