ワクチンでも後れをとった日本は、もはや「衰退途上国」か?

丹羽宇一郎が語る日本再生への「希望」
丹羽 宇一郎 プロフィール

日本は「衰退途上国」?

競争力の低下した日本が抱える課題は、いくつもあります。ただ、最大の課題は人口減少です。過去に経験したことがないだけに人口減少の恐怖を知らない日本がそれを止めることは不可能に近く、各分野の人材不足が広がることは間違いありません。

人口は国力の源です。人口が急速に減りつつある日本は「先進国」ではなく、残念ながら「衰退途上国」と位置付ける人もいます。

私が懸念しているのは、日本の経営者や政治家といったリーダーたちが日本の直面するこうした厳しい現実を直視し、謙虚に向き合い、知恵を絞って課題を解決しようとする「国への情熱」を失っているのではないか、ということです。

政治も経済も目先の利益や損得に追われ、日本をどうしていきたいのかという長期的なビジョンを描く気力を失っているように思えます。

日本は、あるいは日本の企業は人口減少という問題をどう乗り越えていけばいいのか。

これはおそらく世界でも最も難しい課題です。世界最速で少子高齢化が進み、生産力における激しい逆風が吹く中を日本はなんとかして成長していかなければならない。逆にいうと、その課題を乗り越えた時、日本の企業は世界のモデルとなれるでしょう。

人材こそ日本の最大資源

かつての勢いを失い、国力を低下させつつある日本にも、まだまだ世界に誇るべきものがあります。それは教育を受けた人材の層の厚さです。この場合の教育とは、知識や技術だけではなく、道徳や社会規範も含んでいます。

日本再生への道はただ一つ、その教育を受けた多くの人材を生かすことです。

中国がいくら頑張って国力を伸ばしても、人材のレベルではまだまだ日本に遠く及びません。中国の中間層は急速に増加し、2025年には10億人規模に達すると試算されています。

しかし、私が長年中国を見聞した限りでは、その中間層すべてを日本の教育レベルまで引き上げようとすれば、おそらく20年では済みません。

インドが10年以内に中国を追い抜き、人口世界一になると予想されていますが、インドが日本人の教育レベルに追いつくには、中国以上に時間がかかるでしょう。国家の最大の力、最大の資産は国民です。国民は国家の宝です。同様に会社の最大の力、最大の資産は社員です。最大の資産をいかに生かすかが問われています。

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