2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ。3歳と1歳の男の子がおり、お腹に新しい命が宿っていた杉山晴美さんは、テレビの画面で夫の陽一さんが勤務するワールドトレードセンタービルに飛行機が突入する様子を目の当たりにした。

ワールドトレードセンターが崩壊していく様子は、杉山一家が暮らすニュージャージーからはこのように見えた Photo by Getty Images

それから20年。あの日のような悲しい出来事を二度と起こしてはならないと伝える連載「あの日から20年」、9月11日にお送りする22回目前編では、改めて「あの日」2001年9月11日のことを思い出していただいた。中編では、それから20年経ったいま晴美さんが改めて思うことについて率直に綴ってもらう。2021年8月末日にアフガンからアメリカ兵が撤退した。そしてタリバン政権による混乱が生じているのはご存知の通りだ。これは、まさに20年前、911のひと月後からアメリカ軍が侵攻したことから始まっていた。

-AD-

あのときお腹にいた子が大学生になった

20年は長かったですか? 短かったですか?

これは、2001年の911テロ事件から20年の今年よく質問された言葉。
この返答にはいつも困ってしまう。長かった気もするし、短かった気もする。
色々なことがあったし、20年前お腹にいた子が大学生になっているのだから長い時間が過ぎたことは事実だろうけれど、あっという間に感じてしまうのもまた事実。

家族4人の幸せな日々。もう少しで5人になるときのことだった 写真提供/杉山晴美

思えばあの日から、時間は不思議な流れ方をするようになった。
悲しみや苦しみは時が解決してくれることもある。苦痛は時が癒してくれることもある。
が、一方でどんなに時が流れようと変わらないものもある。
特にショッキングな映像を観たり、ドキッとすることがあると、一瞬であの当時に記憶や感覚が戻ることがあり、そういう時は、案外時間などは関係ないのではないかと思ったりもする。

最近都内では飛行機の航路が変わり、我が家の真上を低空で飛行機が通過するようになった。コロナ禍で減便されてはいるが、夕方は2分おきくらいに次々飛んでくる。
ゴーという低い音が近づいてきて空を見上げ、建物の間からぬっと大きな飛行機が姿を現した瞬間などは、未だにドキッとしてしまう。慣れてはきているはずなのに、見る度に気持ちがざわっとする。歩いている時などは、つい歩みを止めて、どこから飛んでくるのだろう? と空を見上げ身構えてしまう。あの飛行機がどこかのビルに激突するのでは? と。
20年経ってもまだ変わらず恐怖はわたしの脳内に存在しているのだなと感じる。