丹羽宇一郎氏(撮影:森 清)

「SDGs」に騙されるな!急増する「美しい言葉」に注意すべき理由

丹羽宇一郎が語る、これからの「会社」
近年にわかに流行し始めた「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉。理念や目標として掲げる企業も増えていますが、元伊藤忠商事株式会社会長で企業経営のプロフェッショナルである丹羽宇一郎氏は、このような風潮に警鐘を鳴らします。なぜ「美しい言葉」を警戒する必要があるのか? 新刊『会社がなくなる!』からお届けします。

「美しい言葉」には注意せよ

行き過ぎた経済活動の反省から、世界中でさまざまな宣言や目標が掲げられています。「格差の是正を」「クリーンなエネルギーを」「持続的な成長」「脱炭素」……。立派なコミットメントを掲げる組織や会社が増えています。

しかし、その多くはお題目に終始しています。具体的な活動に落とし込んでいる会社がどれだけあるか。「美しい言葉」には要注意です。

国連が2015年、2030年までに世界が取り組むべき目標として掲げた「SDGs」(持続可能な開発目標)も近年盛んに取り沙汰されていますが、注意すべき言葉です。

SDGsは17のゴール(目標)を掲げており、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」「働きがいも経済成長も」「気候変動に具体的対策を」「平和と公正をすべての人に」と耳ざわりのいい言葉が並んでいます。

近年注目を集めるSDGs(photo by iStock)


「弊社は近年、SDGsに力を入れた経営を展開しています」
「それはいったいどういうことでしょうか?」
「継続して会社が発展していくような目標を立ててやっております」

当たり前のことです。何をいまさら言っているのか。逆にそうした目標を立ててこなかった会社があるんですか。立派な看板を掲げて対外的にアピールするのもけっこうですが、問題はそこに「中身」がちゃんと伴っているかどうかです。

立派な目標がどれだけ貧しい人、非正規社員、職業を失った人の役に立ちましたか。

世間の流行りものに飛びつくだけで、仕事をした気になっていませんか。やっている当事者自身が変わっていないのに、活動の中身が劇的に変わるわけはありません。各国、各企業がこれまでやってきたことを「SDGs」と名前を変えているに過ぎません。

「ESG投資」(環境・社会・企業統治に対して積極的な取り組みをする企業に投資すること)や「グリーン・ニューディール」(温暖化防止と経済格差の是正を目的とするアメリカの経済刺激策)も同様です。

どんどんやってください。

でもどれほどの企業が本当に「実行」しているでしょうか。

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