仕事と恋愛を両立させ、幸せな人生を愛する人と歩む

リリースからちょうど一年が過ぎ、加盟企業は720をこえるという。AI恋愛ナビゲーションアプリという今までにないサービスにもかかわらず、驚異的なスピードで急成長を遂げた理由を、豊嶋さんは「社員と企業、それぞれの課題の整合性を明確にしたうえでの取り組みだったので、賛同を得られやすかったのかもしれない」と推測する。

「『社員の独身率が上がっているのを感じてはいたけれど、それはあくまでも個人的な問題であり、会社は関係ない』と思っていたけれど、さまざまな企業が参画しているのをみて、『社員の独身率と会社は無関係じゃない』と思いを新たにされるクライアントさんもいらっしゃいます」

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「Aill」のAI開発を行うAIのスペシャリストと肩を並べる豊嶋さん。起業する際、あらゆる人脈を駆使して北海道大学 川村教授にアポイントをとり会いに行ったという。「日本でいちばん恵まれた環境でAIを学んでいます」と語る。左から・Aill最高責任者 豊嶋千奈氏、北海道大学 川村秀憲教授、東京大学 鳥海不二夫准教授、東京大学の松原仁教授。写真/Aill提供

また、利用者、とくに男性からは圧倒的にラクだという声が集まっている。

「仕事が忙しく心身ともにヘトヘトなのに、そのうえプライベートでは恋愛に労力を費やすとなると、正直すごくしんどいですよね。けれど、AIがコミュニケーションをアシストしてくれるおかげで、ズボラでもスムーズに相手と関係が築けてラクだという声をよく聞きます。仕事と同じように、事前に情報を得て、戦略を立て行動をする。そして成功体験を積むにつれ、さらに積極的に動けるようになる。AIは、そんな風に自助的に動くための道具にしか過ぎません。それをどう使うかは、自分次第なのです」

また、リリースした当初は、女性ばかりにニーズが偏ったらどうしよう……と不安に思っていたが、いざ蓋をあけると男性のニーズが想像以上に高かった。「お互いに働きながら、家事・育児を一緒に支え合いましょう」といスタンスの男性が多かったのは意外だったと振り返る。

「Aill」を通じ「働く男女の幸福度を上げる」ことは、やがて「日本を元気にする」ことにつながると豊嶋さんは繰り返す。その壮大なゴールに向けて、2020年9月より、「Aill」は一般社団法人九州経済連合会とも協業を結び、地方創生にも力を入れている。「日本を元気にする」ためには、東京、大阪で働く人の幸福度だけが上がっても意味がない。地方で働く男女の幸福度も上げるための一環として、九州からはじめてみることにした。都心に比べ地方は結婚が早く、独身者が少ない印象があるが、実際のところ、都心も地方も働く男女の悩みにそう大差はないそうだ。

「例えば、福岡に生まれ、地元の大学を経て大手金融会社の福岡支店に入社したとします。遠方への転勤がない職種だと、とくに九州を出たいという人は少ない。そういう人には地元企業の人を、転勤ありの総合職には、東京や大阪に本社を構える全国展開企業の人をつなげたりと、都心と地方をうまく共存しあえるんですよね」

「仕事をがんばればがんばるほど、プライベートが報われないのはなぜか」

ことの発端は、豊嶋さん自らが感じた不条理な社会への反骨心から。一流企業のトップ営業、29歳という若さで女性幹部職候補生に選出されたという輝かしいキャリアを捨て、独立。働く独身男女を幸せにすることで、さまざまな側面から窮地に立たされる日本の社会を救おうと奔放する豊嶋さんが見据える、理想の働く社会とはどんな世界か聞いてみた。

「産休、育休、キャリアアップなど、さまざまな課題はありますが、最終的には男女関係なく『がんばっている人が報われる社会』であること。そして、仕事と恋愛を両立させ、『幸せな人生を愛する人と歩める社会』、それが理想です」

構成・文/大森奈奈

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