「親ガチャ」という言葉が、現代の若者に刺さりまくった「本質的な理由」

若年層に拡がる宿命論的な人生観
土井 隆義 プロフィール

本来、経済的な劣悪さは社会制度によって補正されるべきものである。しかし、遺伝的な資質と同じような生得属性の一部と思い込んでいくと、それを社会制度の設計ミスによるものとは考えづらくなってしまう。社会的な格差は深刻化しているにもかかわらず、その劣悪な社会環境に対して反旗を翻そうとすることもなく、ただ淡々とそれを受け入れていきがちになっている背景には、このような心性の広がりがあると考えられる。

 

もちろん、現在の日本に山登りの時代を再び取り戻すことなどできるはずもない。高度成長期を憧れるような復古的な心性は、時代錯誤もはなはだしい。しかし社会の流動性が増し、ネット環境も充実した今日であれば、内閉化した人間関係を外に開いていくことは可能なはずである。社会制度のあり方に関心を寄せ、その改革を図る機運を高めるためには、まずそこから事態の改善を図っていくべきだろう。

経済的な格差だけが問題なのではない。そもそも遺伝的な資質や才能とみなされるものですら、それを花開かせることができるか否かは、じつは生育環境のあり方に大きく左右される。すべてが生得属性で決まるわけではない。多種多様な他者との出会いの中でその本質に気づくことこそ、親ガチャに潜んだ落とし穴を回避するための有効な手立てになるのだと思う。

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