「親ガチャ」という言葉が、現代の若者に刺さりまくった「本質的な理由」

若年層に拡がる宿命論的な人生観
土井 隆義 プロフィール

このような人間関係の流動化にともなうその自由度の高まりが、生活満足度の上昇に寄与しているのは間違いない。しかしそれは同時に、人間関係がかつてより不安定で揺らぎやすいものになったことも意味している。

組織や制度に縛られずに、付きあう相手を自由に選んでもよいという状況に置かれているのは、自分だけではなく相手もまた同様だからである。自分が相手を選ぶ自由の増大は、相手が自分を選んでくれないかもしれないリスクの増大と表裏一体である。そもそも人間関係への関心が高まっていることに加え、このようなリスク感覚の高まりもまた、現代に特有の不安に追い打ちをかけている。

 

内閉化する人間関係

昨今の若者や子どもたちは、人間関係に対するこのような不安を少しでも減じようと、同質的な志向をもった仲間内だけで人間関係を狭く固く閉じようとする傾向を強めている。少なくとも表面的には、そのほうが人間関係は安定しやすいと感じられるからである。その結果、これほどネット環境が発達した時代であるにもかかわらず、いや、だからこそと言うべきか、調査データを見るかぎり、若年層の人たちが新しい友人と出会う場は狭く少なくなっている

社会学者の研究グループである青少年研究会が実施する「都市在住の若者の行動と意識調査」によると、友だちと知りあったきっかけとして、学外での出会いを挙げた10代の若者は、2002年より2012年のほうが少ない。友人と知りあった場所をすべて挙げてもらい、その数の平均値をとってみると、それもこの10年間で低下している。それだけ交友範囲が狭まってきているのである。

もちろん、インターネットの普及で多種多様な人間がつながりあうことが容易になったのは事実である。ネットを利用して交友関係を広げている若者もたしかに存在する。YouTubeなどの動画投稿サイトで、世界へ向けて自己表現を試みる若者もしばしば見かけるようになった。しかし他方では、ネットがあるからこそ同質的な仲間どうしで固まり、時間と空間の制約を超えて、その同質的な仲間どうしでつながり続ける若者が増えているのも事実である。しかも数としては後者(同質な仲間でつながる若者たち)のほうが相対的に多い。

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