格差拡大、貧困増大…それでも「若者の生活満足度」が高いこれだけの理由

若年層に拡がる「宿命論」的な人生観
土井 隆義 プロフィール

さらに別の統計を探してみると、この謎を解く鍵となると思われるデータもあることに気づく。先ほども触れた統計数理研究所の「日本人の国民性調査」で、1980年代と2010年代のデータを比較してみると、若年層では「自分の可能性を試すためにできるだけ多くの経験をしたい」という人が減っているのである。このデータから推察されるのは、人生に対する諦観の高まりと生活満足度の高まりは互いに矛盾しているわけではなく、むしろ前者が後者の原因となっているかもしれない可能性である。

それぞれの年代の中で若年層と高齢層を比較してみれば、もちろん若年層のほうが「多くの経験をしたい」という人の割合は高い。まだ残された人生が長い分だけ、チャレンジ精神に富んでいるのは当然だろう。しかし、時代をずらして同じ年齢層を比較すると、若年層ではチャレンジ精神が減退しているのに対し、高齢層では逆に増進している。時代とともに各世代の人生観は変わってきているようである。

しかもこれらのデータから分かるのは、歳をとるにつれて保守化していくという加齢効果より、新しい世代のほうが保守化しているという世代効果のほうが大きいという事実である。

 

期待値−現状=不満

私たちは、努力したら報われるという気持ちを強く抱いていればいるほど、努力しようというモチベーションを高められる。しかし、いくら努力しても報われないと、その分だけ著しく不満感を募らせることにもなる。期待値と現実のギャップが大きくなるからである。

他方、努力しても報われないと端(はな)から思って諦観していれば、努力してやろうというモチベーションはなかなか高まらないが、そこでたとえ報われなかったとしても、不満感はさほど募らない。期待値と現実の間にあまりギャップが生じないからである。

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