格差拡大、貧困増大…それでも「若者の生活満足度」が高いこれだけの理由

若年層に拡がる「宿命論」的な人生観
土井 隆義 プロフィール

このような状況を反映して、いまの日本には「努力しても報われない」と諦観を抱く若者たちが増えている。統計数理研究所が実施している「日本人の国民性調査」で、1980年代と2010年代のデータを比較すると、この傾向は若年層の男性でとくに著しい。

人生はなかなか思うようにいかない。生まれたときから定められている宿命のようなものだ。自分の努力で変えることなど出来ようもない。そんな思いを抱えた学生たちが増えていてもおかしくはない。親ガチャはこのような時代精神が投影された言葉といえる。

 

でも人生には満足だ

個人の努力では乗り越えられない壁が目の前に立ちはだかっている。それが昨今の若者たちの実感だろう。ところが別の統計に目を向けてみると、そこからは彼らの意識の意外な側面も見えてくる。

生活全般に満足している人の割合について、NHK放送文化研究所が実施している「現代日本人の意識調査」で、1973年と2008年のデータを比較すると、65歳以上ではほぼ変化がないのに対し、それ以下では若年層のほうが大きくなっているのである。とくに10代後半での増加率が激しく、じつに70%以上の人が生活全般に満足と回答している

今日の若年層では、男女ともに相対的貧困率が上昇し、それを反映して「努力しても報われない」と諦観を抱く人も増えている。にもかかわらず、その状況に対して彼らは不満を覚えなくなっている。若者だけではない。子どもの貧困率の高さも近年は大きな社会問題となっているが、同じくNHK放送文化研究所が実施している「中学生・高校生の生活と意識調査」を見ると、現在の自分を幸福と感じる中高生も、この20年近く増え続けている。いったいなぜだろうか。

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